午前中はテープ起こしをしていた。13時、歩いて池袋に向かう。外は雨がぱらついていた。梅雨に入ったと言いながらも晴れの日が続いていたけれど、ようやくの雨だ。劇場に足を踏み入れると、舞台上にはほがらかな空気が漂っていた。今は休憩時間で、小道具をどうするか、にこやかに話し合っている。2年前とはずいぶんな違いだ。2年前、刷り上がったばかりの日記本を届けにきたときは、歩く音を立てるのも気を遣うほど張り詰めていた。今年は早めにラストに到達しているぶん、余裕を持った作業ができているのだろう(余裕を持った作業というのは、もちろん、緊張感に欠けているということではない)。

 14時過ぎから稽古が再開された。僕は客席からその様子を眺めていた。30分ほど経ったところで劇場を抜け、タクシーを拾う。アパートでカメラをピックアップしてすぐに劇場に引き返してもらい、客席からファインダーをのぞきながら稽古を見守る。明日のゲネを撮影してほしいと頼まれていたので、どのシーンをどの角度から撮ろうか、どのシーンはどのくらいのシャッタースピードで撮ろうかと考えながら見守る。稽古はまだ続いていたけれど、19時過ぎに劇場をあとにして、缶ビールを片手に明治通りを歩いて帰った。