6時に起きてテレビをつける。高知は暴風域に入っているようで、特急は運休すると報じられている。昨晩は「台風だと飲み屋が営業していないかも」と心配していたけれど、それどころではなく、電車が動かなくなる可能性もあるのか。台風の進路を見ると、ちょうど今日の夕方から夜にかけて京都周辺を通過するようだ。これは、確実に特急は運休の予感がする。昨日予約したホテルに電話をかけてみると、キャンセル料はいただいておりませんのでと言ってくれたので、今回は京都に立ち寄らずに東京に戻ることにする。今年は夏の京都に行けず残念だ。

 昨晩食べそびれていた蒸し鶏のサラダを朝食にする。10時過ぎにチェックアウトし、紀伊國屋書店松本清張の『ゼロの焦点』(昨日まで出かけていた場所が舞台になっている)とモレスキンの手帖を買い求める。駅前のスターバックスコーヒーで取材の準備をしたのち、12時過ぎ、富山駅北口で待ち合わせ。新幹線で到着するM・Nさん、それに地元のクリエイターの方たちと合流して、まずは昼食を取ることになる。ハンバーガー屋さん。カロリーを気にして「付け合わせのポテトはナシでお願いします」と伝えると、「うちのポテトは美味しいですよ」と店員さんが言う。M・Nさんが気を遣って「あれやったら僕が食べますよ」と言ってくださり、ここで粘ると雰囲気が悪くなるのでポテトもつけてもらう。これ以上気を遣わせるわけにもいかず、ポテトは自分で食べた。

 アメリカで買い付けてきたというワゴンで田園地帯を走る。車内にはニール・ヤングが流れている。13時半、工房で取材が始まる。1時間ほどで終了し、富山駅まで送っていただく。Mさんの富山滞在時間はたった3時間だ。その多忙ぶりを勝手に心配してしまう。彼の目からはどんな風景が見えているのだろう。僕も同じ新幹線で東京に戻り、17時半にはアパートにたどり着く。電気もつけずに横になって休んでいると、突如として雨が降り出す。もう台風がきている。

 雨が弱まるタイミングを見計らってスーパーに出かけ、きゅうりとトマト、それにほっけを買ってくる。知人が帰ってくるまできゅうりをかじり、知人と一緒にほっけをつつく。今日はもうノンアルコールビールすら飲まず、炭酸水を飲んだ。旅先でノンアルコールビールを飲んでいるうち、「これはもう、しゅわしゅわしていれば何でもいいんじゃないか」と思ったのだ。自宅にはソーダマシンがあるので、何杯でも炭酸水を作ることができる。

 知人が観たがっていた『過保護のカホコ』(第3話)観る。黒木瞳が演じる母親にカホコ(高畑充希)が初めて反発し、猛烈にまくしたてるシーンはとても良かった。知人は続けて第4話を観たがっているが、次は『旅猿』を観る。ゲストは満島ひかりで、知人は途端につまらそうに寝転んでしまった。『海辺の生と死』を観て「満島ひかりが美しかった」とだけ感想を漏らしたことが気に入らなかったのか。僕が楽しく眺めていると、「こんとな女が好きやけのう」とつまらなそうに鼻をほじっている。