5月1日

 6時過ぎに目が覚める。つけっぱなしのテレビから、昨晩の各地の様子が映し出されている。のう、令和になっとるで。知人に話しかけると、「昨晩、カウントダウンして起こしたのに、全然起きんかったやん」と面倒くさそうに言って、知人は再び眠りにつく。コーヒーを淹れたいけれど、豆が切れている。朝のテレビ番組をぼんやり眺める。「上皇さま」という言葉が語られ、テロップでも表示されている。さま、という言葉のありようがしっくりこない気がする。各テレビ局が、赤坂御所から皇居まで移動する車を中継で追っている。日本テレビはまるで駅伝のような中継ぶりだ。それにしても、今日は雨の予報だったのに、嘘みたいに晴れている。

 「やなか珈琲」に電話をかけ、豆の焙煎を注文し、20分後に取りに行く。雨が降らないうちにと、晩酌用の食材も買っておく。テレビで銀座の百貨店が元号入りのあんぱんや振る舞い酒を出していると説明されていたのを見たせいか、普段買わないあんぱんも買って帰り、コーヒーを淹れて朝ごはん。午前中は久しぶりに日記を書いているうちに終わってしまった。昼、オクラと納豆と豆腐をかき混ぜ、そばにのっけて食す。普段は料理コーナーなんて真面目に見ないのに、「腸内環境を整える」と言っていたせいか、5年前に『PON!』で紹介されたレシピをいまだに作り続けている。

 午後、クロネコヤマトの配達員が段ボールを届けてくれる。今の本棚は、去年の年始あたりに、『みえるわ』ツアーのドキュメントを書くにあたり、考えておきたいテーマを軸に本を並べて、秋に『書を捨てよ町へ出よう』のドキュメントのために一部を並び替えて、同じ頃から沖縄に関する書籍を加えた状態になっている。次の企画に動き出すために、まずは本棚を変えなければと、大掃除に取り掛かる。実家に送る本と、売ってしまう本を仕分けしていく。いい加減に積み上げていた書類も、これを機に整理する。『みえるわ』ツアーをドキュメントした37通の「手紙」、多めに印刷したぶんを保存し続けていたけれど、ツアーが終わって1年以上が経ち、この先たくさん注文が入ることもないだろうと、8セットだけ残してあとは処分することに決める。

 19時過ぎになって、ようやく一段落。もやし炒めを作り、チューハイで晩酌を始めているところに、知人が帰ってくる。知人の仕事が片付くのを待ちながら、録画してあった『霜降りバラエティ』観る。知人も僕も、霜降り明星がテレビに出るたびに首を傾げてきて、ドヤ顔を浮かべる姿が映るたびに溜め息をもらしてきたけれど、#3として放送された、粗品の特技を披露する回を観ているうちに、少し考えがかわってくる。肉を10gに切り分けられる、電卓を早打ちできるという特技は、実家が焼肉店で、その仕事を手伝ってきたからの特技だ。そのあとに披露したスーパーマリオの難易度の高いステージをクリアできるというのも含めて、彼がどんなふうに育ってきたのかが二重写しに見えるようなオンエアだった。誰かのことを、「ドヤ顔が鼻につく」という理由で拒絶するというのは、なんと器の狭い考えだろうと反省する。