7月15日

 朝起きて、あちこち掃除機をかける。これまで思い出したときにだけ大掃除をしてきたけれど、旅に出ていないときは、月曜日に掃除をすることにしようと思う。12時頃になって、札幌から知人が帰ってきたので、一緒に「砺波」に出かける。6月は半分沖縄で過ごしていて、東京に戻ってきてからは親知らずの抜歯であたふたしていたこともあり、しばらくご無沙汰してしまっていた。ところが一昨日になって「砺波、閉店するみたいですね」とLINEで連絡をもらって、ついにその日がやってきてしまうのかと思いつつ、久しぶりに足を運んだ。店の前には筆で書かれた貼り紙がある。

 

御客様へお知らせ

昭和三十一年開業以来長い間ご愛顧頂き有難度う御座ます

私共も高齢で体力低下の為誠に勝手ながら令和元年十月末日にて廃業する事に致しました

宜敷く御願いします

中華料理 砺波

小坂外廣

 

 暖簾をくぐり中に入ると、他にお客さんはいなかった。まずは席につき、餃子とビールを注文する。ビールとコップを運んできてくれたお母さんが、色々とお世話になりましたけど、ついにやめることにしたんです、と報告してくれる。もう年だから、どこかぶつけて悪くしちゃったら、お互い看病するのも大変だから。そんなことになって店を畳むとなると、片付けだってできないから、今のうちにやめることにしたんです。お母さんはどこかさっぱりした様子でそう語る。ひと組、もうひと組とお客さんがやってきて、満席となった。いつもはラーメンとビールを注文するところだけれど、せっかくだからちょっと豪華なカニチャーハンや、時価と書かれているエビチャーハンを注文してみようか。そんなことを言うと、「それ、一番良くなやつじゃん」と知人にたしなめられて、いつも通りラーメンとチャーハンを注文した。食べ終える頃には他のお客さんがいなくなっていて、厨房に立つお父さんも表に出てきて挨拶してくださる。またきますと挨拶をして店を出て、アパートに引き返す。

 ビールを飲んだこともあり、知人はすぐに昼寝をする。僕は床に寝転んで、『夏物語』を読み進める。18時過ぎ、今夜は飲み会だという知人と一緒にアパートを出て、「越後屋本店」で生ビールを飲んだ。知人と別れて、スーパーで惣菜を買って帰り、先日F.Yさんに貸してもらった『海の男たちのセーター』という本を読みながら飲んだ。