7月31日

 目を覚ましても知人はいなかった。9時過ぎ、久しぶりでジョギングに出る。かなり薄手のポリエステル製ではあるけれど、長袖のパーカーを着て走っているので、すぐに汗が吹き出す。不忍池まで行くのは諦めて、その少し手前で引き返し、3キロほど走る。シャワーを浴びて、茹で玉子を作っているところに、知人がようやく帰ってくる。14時過ぎ、なんとか構成を完成させる。構成作業はInDesignで縦組みで行なっていたけれど、誤字脱字がないか、通りが悪い箇所は確認するために、Wordで横組みにして推敲する。2度読み返して、16時過ぎに送信。電車が混み始める前にとアパートを出て、千代田線と日比谷線を乗り継ぎ恵比寿に出る。今日はリキッドルームでカネコアヤノと峯田和伸のツーマンがあり、チケットを2枚取っていた。誘っておいたM.Nさんがやってくるまで、隣にある店のテラス(?)席で生ビールを飲んで待つ。目の前をお客さんがひっきりなしに通り過ぎていく。いろんなカルチャーの一つとして今日のライブも楽しみにきたというより、ここに存在理由がある、といった雰囲気を感じる。

 開演時刻の19時近くになってもMさんは現れず、そわそわしていると、19時半開演だと勘違いしてました、すぐ向かいますと連絡がある。関係者受付のスタッフの方に、「Mさんと一緒に観にくる約束をしてて、少し遅れてしまいそうらしいんですけど、チケットを預かっていただくことはできたりしませんか」と無理なお願いをしてみたところ、快く引き受けてくれたので、1枚預けてフロアに降りる。Mさんが間に合えばよいのだけれどと思っていると、ほどなくしてカネコアヤノがステージに登場する。やはり峯田和伸が目当てだというお客さんが多いのだろう、会場の雰囲気は少し前に同じくリキッドルームでカネコアヤノを観たときに比べると静かな雰囲気だった。この日は入り口にも「お目当てのバンドお伺いしてます」と貼り出されていて、それが配分に影響するのだとわかっているけれど、何組かが出演するライブで一組だけを目当てだと思いたくなくて、いつも「特にないです」か「全員です」と答えている。

 そんなことはともかく、ライブは素晴らしかった。カネコアヤノの出番が終わり、お酒のお代わりをと思って振り返ると、すぐ近くにMさんは立っていた。10分くらい遅れたんですけど、わりと早くに着けましたとのことだったのでホッとする。どちらも観て欲しいと思っていたけれど、カネコアヤノを生で観たことがないと言っていたので、一曲でも多く聴いて欲しいと思っていた。フロアの後方にあるバーカウンターでお酒を買おうとしていると、高田馬場に住んでいた頃によく利用していた酒場の店員さんがいる。前にも姿を見かけたことがあったけど、今はここで働いているのだという。峯田和伸のライブも素晴らしかった。こちらは時々、客席からも大きな歌声が上がっていた。

 終演後はMさんと酒場に入り、2時間近く飲んだ。そこで不可解なことが起きた。そろそろ会計をお願いしましょうかという段になり、足元に置いてあったトートバッグを手に取ろうとすると、トートバッグは濡れていた。開演前に買っていたペットボトルの水が溢れてしまったのだろうか。びっくりしながら中身を確認すると、どうもペットボトルから漏れ出した形跡はなく、外側から濡れているようだった。何が溢れているのかと手を嗅いでみると、おしっこのような匂いがした。ぎょっとして動揺し、中の荷物に染みてないか確認しようとしても、うまく荷物を取り出すことができず、あたふたしてしまう。一体何が起きているのだろう。気づかないうちに漏らしてしまっていたのかと自分のズボンを触ってみたけれど、当然ながらまったく濡れていなかった。それはそうだ。では、一体なぜこんなことになっているのだろう。あまりの不可解さに隣にいるMさんに相談することもできず、近くの交差点で別れ、帰途につく。アパートに着き、ズボンに鼻をつけてあちこち何度も嗅いでみる。本当は気づかないうちにおしっこをしてしまっていたのではないかと不安になったからだが、やはりどこからもおしっこの臭いはしなかった。トートバッグを洗濯機に放り込んで、スタートボタンを押して眠りにつく。