3月12日

 3時過ぎに目が覚めてしまう。のう、目が覚めたけん、もう朝のはずやのに、まだ外が暗いんやけど。隣で眠っている知人に尋ねてみると、「8時に寝るからやろ」と迷惑そうに言う。「すぐ8時に寝るけえのう。昨日も『ちょっと、『水曜日のダウンタウンが始まったで!』って起こしてあげたのに、『うん、始まった!』って目を瞑ったまま言うだけで、全然起きんやった』。こんな時間から活動していてはおかしなことになってしまうので、ケータイをいじったり、眠ったりを繰り返す。6時になり、上の階からこどもの足音が聴こえてくるのを待って、洗濯機をまわす。

 茹で玉子を4個作り、2個食べる。メールの返信をしたり、依頼状を書いたりしているうちにもうお昼だ。スーパーでレトルトカレーメークインを買ってくる。電子レンジを頻繁に稼働させ、じゃがいも多めのカレーライスを平らげる。午後、少し前に書き上げていた「東京の古本屋」の原稿を出力して、赤字を入れていく。リード文を添えて、まずは店主にチェックしてもらうべくメールで送信。夕方、昨日の「取材」に関連して、追加「取材」。しばらく前に「古書現世」を訪れたとき、向井さんから「追悼文を書くのに取材に行く人なんて、他にいないよね」と言われたことを思い出す。

 20時、高田馬場のバズーカスタジオへ。今日はボエーズのリハーサルが行われている。僕もボエーズの一員ではあるけれど、東京にいないタイミングが多過ぎるせいで、リハーサルに同席したのは随分と久しぶりだ。ただ、僕は楽器を演奏するわけではなく、記録係であるので、皆の演奏をただただ聴くばかり。最後に3曲通しで演奏するところで、ICレコーダーで録音しておく。21時にスタジオを出て、BIGOBXの最上階にある「サイゼリヤ」で打ち上げ。今日送ったばかりの原稿の話になる。「MRSN文庫」の藤原さんは、取材させてもらったあとで「せっかく来てもらったのに、しょうもない話しかできなかった気がする」と心配そうにしていたけれど、あの3日間があんな原稿になるなんてと、ある面ではホッとしてくれていた。

 「サイゼリヤ」は思ったよりも賑わっていた。春休みである上にこの状況となると、もっと閑散としているかと思っていた。ほうれん草のソテーみたいなやつが運ばれてくると、先輩は徐に席を立ち、店の中央あたりにある台のところできょろきょろしている。いつもはそこに胡椒が置かれていて、自分のテーブルに持って行って自由に使えていたのに、今は姿を消しているらしかった。マグナムボトルを5人で飲み干して、デキャンタを追加して、山手線に乗る頃には少し千鳥足になってる。