3月26日

 9時半にアパートを出て、与野本町に出る。駅前の広場で黄色い帽子の園児たちが遊んでいる。縁に腰掛ハンバーガーを頬張る女性を、ひとりの園児が後ろから覗き込んでいた。劇場の近くにある中学校からは、生徒たちがはき出されてくる。終業式だったのだろうか。ほとんどの生徒はマスクをつけている。10時45分に劇場にたどり着き、オーディションを見学する。今日もファミリーマートの冷やしたぬきうどんを食べた。審査が終わったあと、2時間以上にわたって話し合う――僕はもちろん一言も発することなく、その様子を見つめる。

 19時20分に劇場を出て、駅前のスーパーに立ち寄る。ビールだけ買うつもりが、パスタを1袋、そばを1袋買ってしまう。20時20分に池袋のスタジオにたどり着き、ボエーズのリハーサルを見届ける。2点だけ意見を言う。21時にリハーサルが終わり、わめぞの飲み会でおなじみ「サン浜名」で乾杯。貸切状態だ。皆が「東京の古本屋」を褒めてくれる。書いた原稿のことをあれこれ言ってもらえる機会は滅多になく、嬉しくなる。

 注文はムトーさんにお任せする。何品か注文したあと、セトさんが「あと、ハムエッグ」と言う。「え、納豆オムレツも頼んだから、卵がかぶるよ?」とムトーさん。いや、ハムエッグも頼もう――セトさんはそう言って注文したのだが、今日はハムを切らしているらしかった。「でも、ベーコンエッグならできるけど」とマスターが言ってくれたので、そちらを注文した。納豆オムレツも、ハムエッグも、相変わらず見事なボリュームだ。5人で会計は1万円だったのだが、皆が計算を間違えて、ひとり2500円ずつ出してしまう。集めたお金をマスターに差し出したところで、計算間違いにようやく気づく。帰り際、マスターが「今日は卵を20個使った」と教えてくれる。ひとりあたり4個。これくらいの割り算なら酔っ払っていても計算できる。

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