5月30日

 6時半に目覚ましが鳴る。7時に布団から這い出して、オリーブのパンを平らげる。天気予報を確認すると、お昼の時間帯に傘マークがある。いつもなら傘を持って出かけるところだけど、今日は手が塞がると面倒なので、折り畳み傘のホコリを払ってリュックサックに入れてアパートを出た。8時に後楽園駅の改札前で待ち合わせ、企画「R」に向け歩き出す。下見というわけではないけれど、事前に何度か歩いてみたルートでもあるのだが、Fさんと話しながら話しているとやっぱり発見がある。「発見」というと正確ではないだろう。「街を読み解く」ということではなく、ふと直感的に話題にのぼったことから、連想が広がってゆく。

 11時過ぎ、日比谷公園で解散となり、ぼくはコンビニを探す。天気予報は外れたらしく、よく晴れている。近くのコンビニは臨時休業となっていたので、ミッドタウン日比谷まで地下街を歩く。他の店はまだ休業中――ただしシャッターは少しだけ上がっていて、開店に向けて作業をしている気配がある――だったけれど、セブンイレブンは営業していた。弁当類の棚には何も並んでいなくて、がらんとした棚に清々しい気持ちになる。端っこにおにぎりとブリトーだけ数個並んでいた。ぼくはアサヒスーパードライを2本手にとって、レジに向かう。ここ数年、花見の季節になるとアサヒはピンク色の缶になり、その色がずっと嫌いだったのに、どういうわけか今日はあえてそちらの缶を選んだ。それを手に日比谷公園まで引き返し、缶ビールを飲んだ。

 12時半に帰宅して、知人にサバ缶とトマト缶のパスタを作ってもらってお昼ごはんにする。ここでもビールを飲んだせいで、午後は2時間近く昼寝をしてしまう。夜は「たこ忠」でアジと金目鯛の刺身を買ってきて、東京03リモート単独公演『隔たってるね』の配信アーカイブを観た。この状況を利用した/この状況を描いたコントを、3人が自宅で過ごしながらZOOMで配信している。思っていたより面白かった。ただ、それ以上に、(コントの世界の登場人物たちが)仲良しだなあということばかり考えていた。角田が演じるキャラクターは、一口に言えば面倒くさいやつだ。もしも身近な世界にこんな人がいたら、冷たくあしらってしまうだろう。そんなキャラクターとも関係を維持する「同僚」や「友人」の優しさがまぶしく見える。自分が選ぶことのなかった、「同僚」のいる世界を垣間見ているような気分に浸りながら動画を観終えた。

 続けて、通販でDVDを購入した『キッズ・リターン』を観る。これまで一度も観たことがなかった。バブルが崩壊したとはいえ、90年代の日本にはまだ余裕があったのだなあとしみじみ思う。これは少し前にJUDY AND MARYのアルバムを聴いたときにも感じたことで、そこには明日の生活を心配なんて何もないような感触があった。明日もわたしの家はあり、暖かい布団で眠れることには疑いが挟まれていないような感触があった。もちろんあの時代にだって生活に困っていた人たちは存在するのだけれども、時代の空気があの頃とはまるで変わっているような感じがする。