6月22日

 5時半に目を覚ます。つけっぱなしのテレビから、本部で豪雨が降ったと報じられている。沖縄は今日、一日中雨だそうだ。曇りガラスだから外の様子は見えないけれど、たしかにいつもより薄暗い気がする。11時50分に外に出る。傘はなく、雨に降られながらアーケードのある区画まで走る。市場中央通りを歩いていると、空き店舗となっていたところで工事が始まっていて、よく見ると前に取材させてもらったOさんが作業している。ご挨拶して、工事の姿を写真に収めていると、「ミルク食堂」の方が通りかかる。「さっぱりしましたね」と笑いながら、通り過ぎてゆく。「上原パーラー」でネパールカレーを買って、パラソル通りで平らげる。雨だからか人通りも少なく、静かだ。紙に手書きで書評を書き始めると。30分と経たないうちに書き終わってしまう。ホテルに引き返して、パソコンで入力しておく。

f:id:hashimototomofumi:20200622121113j:plain

f:id:hashimototomofumi:20200622121714j:plain

f:id:hashimototomofumi:20200622125457j:plain

 14時、仮設市場へ。様子を眺めてまわっていると、肉屋さんにお客さんの姿があった。接客している店員さんに、また別の店員さんが話しかけて、「皮がついてないと、お供えにならないよ」と伝えている。明日は慰霊の日だから、御供物を買いに来るお客さんもいるのだろう。皮がついてないと、お供えにならないんだ。そう思いながら階段を上がり、事務所で組合長のAさんに取材。途中でAさんのケータイが鳴り、どうぞどうぞと反射的に言ってしまう。テレビ局から取材の相談らしかった。現在の市場の様子をあれこれ確認している。今の状況では対面取材はなるべく控えるべきだというのはわかるけど、タクシーで千円以下の距離にあるのだから(そもそもぼくからすると徒歩圏内)、様子を確認するだけなら足を運べばいいのにと思う。自分で見聞きせずに、取材なんてできるかよ。しかも、今後のイベントなどの話になったとき、「そのときにはプレス(リリース)出されます?」という声が聴こえてきて腹が立つ。流れてきたプレスリリースをフォローするだけで取材になるかよ。電話は40分近く続く。心が折れそうになる。取材を受ける側も、話せば話すだけ疲労が溜まるはずで、こちらの取材が手短に終わってしまうのではと不安になる。でも、最終的にはしっかり話が聞けてほっとする。

f:id:hashimototomofumi:20200622125603j:plain

f:id:hashimototomofumi:20200622125625j:plain

 仮設市場を出て、アーケードのある区画まで走り、「市場の古本屋ウララ」に立ち寄る。これまではアーケードが張り巡らされていたから、雨が降っていてもまったく行動に影響は出ることがなかったのになと思う。「わたしも、ついさっきコーヒーを買いに出たんですけど、前はこんなに苦労しなくて済んだのにと思いました」とUさんが言う。沖縄在住の唯一の友達だから、「昨日取材で聞けた話も、今日の取材で聞けた話も面白かった」と、聞かれてもいないのに報告してしまう。また無事に来れるといいですねと言われて、どこか別の空港を経由してでもきます、と答える。16時にホテルに引き返して、鬼のようにテープ起こし。2時間ほどで完成。19時、国際通りの「ファミリーマート」で出力し、「末廣ブルース」に入り、ビールとてびちアラビアータを注文。てびちアラビアータ、美味しいのだけれど、ぼくは箸遣いが下手だから、肉をこそぎ取るのに奮闘する。隣で「明日は慶良間に潜りに行く」と話していた標準語の女性から、ノーガードで「それ、何食べてるんですか?」と声をかけられ、マスクを定位置に戻し、「てびちアラビアータです」と答える。店員さんの中にも、マスクをあごにずらして作業をしている姿がある。ビールを1杯、レモンサワーを1杯飲んだところで店を出る。「パーラー小やじ」に立ち寄るも、混んでいたので通り過ぎ、「ファミリーマート」(那覇神里原通り店)でビールと傘を買い、栄町市場の「うりずん」へ。カウンターは昨日より空いている。他に座っているのはいずれも観光客で、お互いにどんな旅をしているのか話し合っている。東京からやってきたという男女は、女性のほうは沖縄出身であるようだが、男性がずっと沖縄料理の説明をしている。どうしてすぐにこういう構図になってしまうんだろうなあ。白百合を2合飲み干したところで会計をして、「謝花酒店」でビールを買い、ごんたを眺める。ほとんど動くことなく、横たわっている。ああ、一回ぐらい触れておこうかと手を伸ばした瞬間、さっきまであんなに動かずにいたのに、はうっ、と体を起こす。