7月28日

 昨晩は酒を飲まなかった。ここ最近は(ずっとかかりきりだった企画「R」の原稿に引きずられるように)酒を飲み過ぎていた。久しぶりに休肝日を挟んでみると、寝起きの感じが違っている。酒を飲まなかった翌朝のほうが「いつもと違う」に――つまり酒を飲んだ翌朝のほうが「通常」と感じるようになっていることに気づき、ちょっと気をつけないと危険だなと感じる。天気予報を確認すると、10時以降は曇りになっていたので、洗濯機をまわす。でも、洗濯機がとまるころには傘マークが表示されていた。雨が降り始めるまでベランダに干しておく。次第に空が晴れてくる。晴れたまま、雨粒が降り始める。洗濯物を取り込んで、扇風機の風が当たるように配置しておく。

 11時にアパートを出て、千代田線―日比谷線東急東横線と乗り継ぎ、みなとみらいに出る。お腹が減ったので、ワールドポーターズに立ち寄る。フードコートは閑散としているけれど、ぽつぽつお客さんの姿がある。醤油ラーメンを注文し、テーブルまで運んだところで、「ここの席で誰かが食事をしたあと、特に清掃されないままになっているんだよな……」と一瞬躊躇してしまう。特に席は間引かれていなくて、今日は閑散としているから平気だけど、休日で人出が増えれば隣り合って食事をすることになるのだろうか。しかし、このフードコートで働いている人の数を考えると、そうでもしなければ採算は取れないだろう。腹を満たしたところで、「海外移住資料館」を見学する。小さな資料館だが、知りたいことがたくさん書かれてあり、ケータイでメモを取る。気づけば1時間半ほど経っていた。展示の中に気になる点があり、受付の女性に質問すると、学芸員の方を呼んでくれる。気になることをいくつか教えていただく。「資料閲覧室もあるんですけど、今は事前予約制になってまして」と申し訳なさそうに学芸員の方が言う。ぼくが知りたかったことは、ひとつには戦争花嫁に関すること。前に特別展を開催したことがあるそうで、当時のリーフレットを探し出してくれる。

 資料館の外に出ると雨が降り始めていた。赤レンガ倉庫の近くに出て、大桟橋のところに停泊している客船を眺める。岸壁には釣りをしている老人たちの姿があり、その向こうから威勢の良い声が聴こえてくる。海上保安庁がなにか訓練をしているようだ。みなとみらいから電車に乗り込んだ。席には座らず、立ったままでリーフレットを熟読する。16時過ぎに雑司が谷駅にたどり着き、コンビニで「日記」を複写する。「日記」の中に「古書往来座」に触れられているところがあり、これはセトさんにもプレゼントしたいと追加で買おうと思ってメルカリを開くと、とっくに売り切れていた。著作物を複写するのはどうなんだろうと思うけれど、「いや、でも、もう入手する方法がないわけだから……」と自分に言い訳をしてきかせながら複写。「古書往来座」をのぞくと、今日はTさんが店番しているところだったので、Tさんに手渡しておく。

 山手線で日暮里に出て、「越後屋本店」でビールを2杯飲み、惣菜屋でツマミ(マカロニサラダ、ナス味噌炒め、アジフライ)を買う。明日から関西に出かけるので、せっかくだから何か手土産をと、よみせどおりの「腰塚」でコンビーフを買おうかと思ったのだが、冷凍のコンビーフを持ち運ぶのは難しいかもしれないなとやめにする。じゃあせめて日本酒をと、おいしい日本酒をあれこれ取り揃えている「伊勢五」に向かうも定休日だ。何も用意できないままアパートにたどり着く。テレビをつけると、大阪市長が「5人以上の飲み会は控えて欲しい」と会見している。「5人以上」というのは、その人数になると感染が広がりやすいという「疫学調査」があるそうだが、それは「5人以上」であることが問題というより、「5人以上の飲み会になると、宴会感がましてタガが外れやすい」というだけではないのか。そして「8月1日から20日まで控えるように」という、またしても謎の日付の区切りが提示されている。暗澹たる気持ちで過ごしていると、帰宅した知人はいそいそと卓袱台にパソコンを広げ、関西ジャニーズの生配信を観始める。今日は7月28日、「なにわ」の日ということで、関西ジャニーズが集結し生配信が行われるのだという。ビールを呷りながら配信を楽しむ知人の隣で、画面の中に映る太陽の塔をぼんやり眺める。