8月1日

 昨晩ホテルにたどり着いたのは2時半だったこともあり、目を覚ますともう9時過ぎだ。急いでシャワーを浴び、部屋を片付け、荷造りをする。リュックに入りきらず、膨らんだトートバッグを抱えるように、10時過ぎにチェックアウト。アーケード商店街を歩くと、歩道の中央にトラックが連なり、荷物を積み上げ仕分け作業が行われていた。こんなふうに活用できるのかと目を瞠る。東京でもあちこちに増えている、変わった名前をつけるパン屋の新店舗が今日オープンしたらしく、長蛇の列ができている。その斜向かいにはいつも行列のできているパン屋がすでにあって、今日はいつもよりオープン時刻を早めて営業していたけれど、そこに行列はなかった。

 三ノ宮駅から山陽本線新快速に乗り、大阪へ。先頭車両を選んだこともあり、車内は空いていたけれど、大阪駅に着いてみるとさすがに混み合っている。人混みを避けながら御堂筋線に乗り換え、本町駅で下車。どこか時間を潰せる場所はないかと彷徨い、「KEY’S CAFÉ」(本町店)に入店。カウンター席には仕切りが設けられており、テーブル席も間隔がかなり確保されている。しかも店内はかなり空いているので、日記を書きながらアイスコーヒーを飲んだ。

 12時ちょうどにOSKビルに向かう。開店を待ち、「toi books」へ。リュックとトートバッグがかなりの重さになってしまったので、新神戸から帰ろうかとも考えたけれど、開催中の柴崎友香写真展を観ておこうとやってきたのだ。ごく小規模な写真展ではあるけれど、しばし眺める。店内には又吉さんのサイン本も並んでいた。その又吉さんがいつだか面白かったと教えてくれたジョン・アーヴィング『神秘大通り』や、寺尾紗穂『あのころのパラオを探して 日本統治下の南洋を生きた人々』、『総中流の始まり 団地と生活時間の戦後史』を買い求め、お店をあとにする。

 新大阪駅の新幹線コンコースにある「551」の売店で焼売を買い、駅弁売り場で柿の葉寿司(7個入り)と「水了軒」の八角弁当を買い、29番のりばに上がる。新大阪始発の新幹線を選び、のぞみ226号(6号車10A)に乗り込んだ。「新大阪始発のほうが安心だ」と調べて、200番台以上ののぞみは新大阪始発なのだと知る。二桁は博多始発、100番台は広島始発などに割り振られているのだそうだ。キッチンペーパーと消毒液でテーブルや肘掛けを除菌し、発車直前にホームの売店アサヒスーパードライを2缶買っておく。6号車の乗客は10人強だ。ホームで乗車待ちをしているときから神経症を発症してしまっていたけれど、マスクをしていない人が何人かいて、車内でもマスクをせずに過ごしている。どうしても目が追う。

 15時24分に東京駅に到着し、千代田線で千駄木まで帰ってくる。あまりに荷物が重く、団子坂をのぼったあたりまで知人に迎えにきてもらう。シャワーを浴びて全身をハンドソープで洗ったあと、しばらく休んで、17時過ぎに知人と散歩に出る。谷中銀座は大賑わいで、ちょっと立ち入るのが躊躇われ、よみせどおりをまっすぐ歩く。しばらくして引き返し、谷中銀座の「越後屋本店」でアサヒスーパードライを2杯買う。軒先は賑わっているので、人通りのない場所まで移動し、ビールを飲んだ。ここに限らず、マスクを外して過ごす人の姿が目につくようになった。もちろんひとりで外を歩くぶんにはマスクをしなくても問題ないにしても、人混みを誰かとしゃべりながら歩く人の中にも、屋内で過ごす人の中にも、マスクを外したままの人が増えたように感じる。そして、その表情はどこか誇らしげに見える。

 惣菜と枝豆を買って帰り、19時に晩酌を始める。枝豆と柿の葉寿司がツマミ。録画してあった『水曜日のダウンタウン』を再生する。最初の企画は「一番お世話になった先輩、婚姻届の証人ではっきりする説」で、芸能人たちが婚姻届の証人を誰に頼むかと調査している。婚姻届には二人以上の証人が必要となり、一般的には親に証人となってもらうケースが多いそうだが、芸能人(特に芸人)はお世話になった先輩に頼むことが多く、それを誰に頼むかで「誰に一番お世話になったと感じているのか?」がはっきりするというものだ。VTRに向かう前に、プレゼンターのバカリズムは誰に証人になってもらったのかという話になる。そこでバカリズムが「バナナマンのおふたり」と答えることに愕然とする。ふたりに依頼するとして、どうしてその2/2を夫側の先輩で埋めてしまうのだろう。そこに誰も疑問を挟まないまま番組は進行し、芸人のほとんどが自分の先輩や相方だけに証人になってもらっていて、妻の存在はないも同然のものになっている。そういうところにいちいち違和感をおぼえてしまう。『水曜日のダウンタウン』を楽しみに観られる日々は先週で終わりを迎えたのかもしれない。