1月7日

 朝9時に起きる。正月に録画した番組を眺めながら、来週末に配る予定のチラシのデザインを組んだ。17時50分、神保町「新世界菜館」へ。今日は18時から『S!』誌の収録、Tさんの特番回だ。ゲストが誰であるのか聞きそびれたまま今日を迎えてしまったが、会場に到着してみるとTさん、それにゲストのTさんが既に席に座っていた。しまった――「遅くなりました」と言いつつ席につくと、ほどなくして収録が始まった。

 ゲストのTさんの話はどれも面白かった。「俺は評論家じゃなくて作るほうだけど……」と前置きをして語る分析はどれも鋭かったし、いくつかの“舞台裏”の話も面白かった。僕は今年、漫才のことをちゃんと考えてみようと思っていたところで、そういえばお昼にツービートの漫才をYouTubeで観てもいたのは不思議な偶然だ。対談の最後に、皆はミニカレーを注文していたが、ゲストではないTさんに「はっちゃんは大盛りがいいんじゃない?」と言われて大盛りカレーを食べた。いつもなら「いや、僕もミニで……」と言っていたかもしれないが、そんなことを言うのはヤボではねえかという気持ちになり、大盛りカレーを食べた。誰より早く平らげたように思う。

 膨れた腹を抱えて、近くにある「S台」へ。収録現場にいた人全員が2軒目にも同席していた。ゲストのTさんは、ふとした瞬間にくっと距離をつめた言葉を放る。あえてキツめにツッコミを入れてみたりする。ただし顔は朗らかだ。Tさんも細やかだけど、ゲストのTさんも細やかな人なのだなということがよくわかるので、僕は少し緊張していた。

 1軒目の「新世界菜館」でももちろん緊張していた。編集者の人が料理を小皿に取り分けるのだが(回転テーブルではなかった)、ゲストのTさん用に取り分けられた小皿が、僕とゲストのTさんのあいだ位に置かれていた。ゲストのTさんは、それが自分の皿であると気づいているのか否か、手をつけなかった。もう少しゲストのTさん寄りの場所に皿を寄せるべきだろうか。でも、もし気づいていて手をつけていないのでれば、わざわざ皿を動かすのは失礼かもしれない。でも、万が一気づいていないのであれば――僕があれこれ思案しているうちに、ゲストのTさんはその皿を僕のほうに少しだけ動かした。僕はますますわからなくなって、その皿を見つめていた。