8時過ぎに起きる。シャワーを浴びて、構成仕事に取りかかる。昼過ぎには完成した。一日かかると思っていたのに。最近は、何となしに構成していくと、おおむね文字数に収まるようになってきた。昼、納豆オクラ豆腐うどんを作って食す。最近、テレビでよくカビ対策を特集しているのに刺激されて、洗濯機を洗浄する。50度のお湯を注ぎ、市販の漂白剤を投入し、まわす。「洗い」だけ、何度もまわす。家事の中で洗濯が一番好きだ。もう洗濯機が好きだ。洗濯機をながめながら、小一時間過ごす。

 15時過ぎ、ふと思い立ってジョギングをする。ジョギングを記録するアプリを立ち上げてみると、前に走ったのは今年の2月だ。つのまにか6月になっている。6月だ。自分も一緒に走ろうと思い立って、ジョギングすることにした。僕は5月上旬からずっと、ある人たちの声のことを思い出して過ごしている。神田川沿いを5キロほど走り、入浴。湯につかりながら、今晩取材するT平さんの本を読む。読んでいるうちに、これからこの方に会えるのかと思うと、わくわくしてページを繰る手が遅くなる。

 18時45分、新宿・ゴールデン街へ。19時、3階の座敷で対談の収録が始まる。しばらくは瓶ビールを、途中からキンミヤの水割りをいただく。ひじきの煮物、マカロニサラダ、鶏肉とカボチャの煮物、お刺身の盛り合わせ。中でも美味しかったのはトマトと玉子の炒め物。スパイシーで美味しかった。2時間半ほどで収録が終わり、2階のバーに移動する。ジンのソーダ割りをいただきつつ、Tさんのお話を伺う。話しているうちに、T平さんはピンクの袖を肘まで捲り、口角を上げてニッと笑いながら話す。編集者のHさんは僕より年下だけどカルチャーに詳しく、いろんな固有名詞を出しながらT平さんと話している。T平さんの口からは、今のカルチャーに関する話もたくさん出てくる。僕の父親と同世代のT平さんが、今でも何かを掘り当てようとしている姿勢を見ているうちに、背筋の伸びる思い。

 一番印象的だったのは、取材中の話ぶりだった。誰かについて語っているとき、その話題が少しでも相手をくさす方向に向かいそうになると、「これは使えないけど」と前置きして語っていた。もちろん、ネガティブな話をしてもオーケーな人もいる。それは、その相手が“友達”だからだ。はコンプライアンスだなんだということで規制されていることを、この時代の人たちは、もっと個人の倫理として行っていたのだろう。0時過ぎにおひらきとなる。混雑した電車に乗ってイライラするのはもったいない気がして、アサヒスーパードライを片手に歩いて帰る。T平さんの上品さを思い浮かべる。