朝10時、コンビニに出かけて『ブルータス』と『テレビブロス』、それにハムサンドを買ってくる。アイスコーヒーを飲みながら、明日の取材に備えてTさんの著書8冊を読み返す。昼はゼンパスタを食べた。17時、池袋に到着すると、当日券の列にはもう6人も並んでいる。そのまま並んでいると、それが制作のHさんにバレて、「橋本さーん。もしや、並んでる?」とメッセージが届く。こないだ一度無理を言って観せてもらったから、これ以上観るのなら自分で並ぼうと思って並んだのだが、それはそれで気を遣わせてしまった。1時間ほど並んで、当日券を入手する。

 1階にあるおにぎり屋さんでおにぎりを食べて、19時、マスクをつけて二度目の観劇。今日は舞台下手側にあるサイドの席だ。ここは砂かぶり席のようになっていて、全体像が掴みづらいところはあるし、待機する役者の背中で見切れるシーンもあるけれど、僕はとても好きな席だ。舞台上にいる人たちと、同じ地平にいるような気持ちになる。何よりひとりひとりの表情がはっきり見える。今日はその表情を食い入るように見つめていた。

 終演後、公演を観にきていたムトーさん、それにその同僚のSさんと三人で「ふくろ」で飲む。Sさんは、これまで僕が会ったことのないタイプの人で、面白い。ホッピーを2セット飲んだところで23時、ラストオーダーの時間になった。店を出て二人と別れる。まだ打ち上げをやっているというので、近くの沖縄料理屋に顔を出す。ちょうどFさんの隣の席になったので、「これは余計なことを言ってると思うんですけど」と前置きをして、今日気になったことを伝える。間近で表情を見つめていると、ひとりひとりの感情の動きが見えてくる(それは必ずしも、一般的な意味での演出としてつけられたものではないだろう)。そうしたときに、SさんとIさんの二人の表情を観ていると、彼女たちがどうして自ら死を選ぶという選択したのか、ちょっとわからなかった――そう伝えた。それは別に、批判として言ったつもりはなくて、単純に、公演を見つめているなかで、その子を――どこかにいた(いる)かもしれないその子を見つめているなかで浮かんだ純粋な感想だった。僕がその感想を伝え終わると、Fさんではなく、別の人に反論を受けた。あとになって「感想なんか言うんじゃなかった」と後悔した。

 淡々と泡盛を飲んでいると、別の場所で飲んでいた数人が合流してきた。そこには、ある役者さんの姿があった。僕が大好きなドラマ2本に出演している人だった。しかも、偶然隣の席に座ることになった。我慢しようと思っていたのに、つい「あのドラマ、本当に大好きなドラマです」と言ってしまった。自分のミーハーさを反省しつつ、午前2時、帰途につく。