朝9時に起きる。昼、納豆オクラ豆腐入りうどんを久々に食す。14時、今日は久々に取材があるので、散髪に出かける。最近はいつも同じ店で、同じ人に切ってもらっているけれど、まだ慣れずにいる。昔はずっと自分で、バリカンで刈っていた。髪を切ってもらっているときは、いつも本を読んでいる。今日は川上未映子『ヘヴン』を読んでいた。読んでいると、こんな一節に出くわして少しおかしくなる。

 コジマは口をひらいたまま僕をじっと見た。

 「髪って、……なんで」

 「いや、髪がいいかなって思って」

 「髪って、髪のどこを?」

 「どこでも。そりゃあざくざく切られたらちょっと困るけど、いや、困らないけど、その、君が言ってたように僕の髪性が損なわれない程度に切るくらいなら、ぜんぜんかまわないよ」

 コジマはそれをきいて、右手で左手の甲をさすったりしながらなにか言おうとしてるのだけれど、うまく言葉がでてこないみたいだった。

 17時45分、神楽坂へ。18時、『S!』誌の対談の収録が始まる。途中、Tさんから衝撃的な話をさらりと聞く。動揺しているうちに20時が近づいている。まだ対談は続くが、20時からすぐ近くで別の収録があるので、途中で退席させていただく。徒歩30秒ほどの場所にある店で、『e』誌の収録(二つとも同じ会社の雑誌だから、こんなハシゴが許してもらえたのだろう)。対談のゲストだった方は、何度か一方的に見かけたことがある。一度は弘前のライヴ会場で、一度は江戸川橋の「新雅」で、だった。そのことをようやく話すことができて嬉しかった。

 22時に対談が終わると、「今日くらい、はっちゃんも一緒に飲みに行こうよ」とNさんに誘っていただく。そこから新宿に移動し、「K花」でハイボール。2時頃になって店を出て、『e』誌編集部の二人に店の外まで見送ってもらった。自転車で颯爽と帰ろうとすると、パン、という乾いた音がした。うん?、と立ち止まると、後輪からみるみるうちに空気が抜けていく。こんなタイミングでパンクするとはなあ。そんなことを思いながら、え、大丈夫ですかと心配してくれるふたりの姿を、酔っ払った頭で見つめていた。