朝7時に起きる。最近食欲が爆発してしまって身体が重くなってきたので、4キロほどジョギングをした。トーストとヨーグルトで朝食を済ませて、入浴。正午、当日券目当てにシアターイーストに出かけてみたけれど、既に10人ほど並んでいるのが見えて挫折する。明治通りを自転車で南下し、久しぶりでジムに出かけて退会手続きを行う。

 専用ロッカーも契約していたので、荷物を引き取るべくロッカールームへ。ジムの中を歩いていると、なんだか懐かしい気持ちになってくる。大学院を中退する手続きをした春の日のことが思い出される。が、ロッカールームに入った瞬間にその気持ちは消え去ってしまった。僕が利用していたときは床と壁は白く、ロッカーの色も青色で、いかにも運動施設然とした雰囲気だった。それがいつのまにか改装されており、全体的に黒を基調とした佇まいで、ロッカー自体もウッディーで落ち着いた雰囲気に変わっていた。ただ、専用ロッカーだけは以前と変わらず青色だ。そこを開くと、埃の積もったジョギングシューズが出てきた。奥には置き型消臭剤があるが、中に入っていたゼリーは姿を消し、からからに干からびていた。

 昼、納豆オクラ豆腐うどんを食す。15時過ぎ、雑司が谷へ。今日は鬼子母神で毎年恒例の節分追儺会が開催されるのだ。平日だが結構な人出で、見知った顔がいくつもある。15時半には豆が撒かれる場所に人だかりができているが、豆撒きが始まるのは15時50分だ。消防団や警察が何度もマイクで「前の方を押さないように」とアナウンスする。エリアは「一般」「高齢者」「子供」に分かれており、子供エリアは豆撒き台の向こう側なので、一般エリアからは見えなくなっているのだが、大勢のちびっこが騒ぐ声が聴こえてくる。T屈さんが「向こうで大惨事が起きてても気づかないよね」と言っていたが、たしかに、何か事件が起きたのではないかというほど騒いでいる。

 子供エリアの整理が追いつかなくなったらしく、10分ほど遅れて豆撒きが始まる。今年も城戸真亜子さんや唐十郎さんの姿がある。唐さん、お元気そう。「押すな」というのはタテマエで、いざ始まると戦場と化す。高齢者エリアはあるのだが、若者より年配の方のほうが激しい動きだ。僕は一袋だけ確保してからは写真を撮っていた。ときどきバシンと顔に衝撃があり、なんだよもうと思っていると豆である。豆撒きをやっているのだから当たり前だ。子供エリアに移動してみると、大はしゃぎで豆に群がっている。こんな時代でも豆にはしゃぐのかと不思議な気持ち。

 「このあと皆でチーズフォンデュするんだけど、はっちもくる?」とムトーさんに誘ってもらって、早稲田にあるS書房さん宅へ。S書房のAさんが帰ってくるまでは僕以外全員女性で、皆は手際よくチーズフォンデュの支度を進めていく。料理のできない僕には手伝えることもなく、「ビール飲んでていいよ」と言われたものの、手伝いもせず飲んでいていいのかとソワソワする。

 バゲット、パプリカ、プチトマト、ブロッコリー、ズッキーニ、ヤングコーン、ソーセージ、ちくわ、餅、南瓜……。その他にもいくつか具材を用意して、チーズフォンデュを始める。以前スイスのバーゼルを訪れたとき、バーに入って一人で食べたことがあるが、一口目こそうまかったものの、後半はほとんど苦行だった。パンの山をチーズにつけてひたすら食べるだけで、ずっと同じ味だったのだ。

 でも、今日はいろんな具材があるし、皆で食べているのでうまかった。特にうまかったのはヤングコーンだ。田酒もご馳走になって、22時頃までお邪魔してしまう。楽しかったせいか、自宅に豆をまかずに眠ってしまった。