夜、新宿へ。LUMINE0のこけら落としとして、マームとジプシーが3作品を同時上演する。その第一弾となる『カタチノチガウ』は今日が初日だ。受付に行ってみると、チケットの整理番号は1番だ。昨日も感じたことだが、中に入ると新しい匂いがする。最前列に座り、観劇。稽古場での通し稽古、昨日のゲネプロで撮影もしているが、本番を客席に座って観るというのは別物だ。

 『てんとてん』の通し稽古を観た日、青柳さんは「『カタチノチガウ』は、“或る阿呆の一生”みたいになりました」と言っていたけれど、昨年上演されたバージョンよりも時計の針が進んでいる。「私はあれから、いろんなところ、旅をした」と語りだすモノローグは、マームとジプシーが続けてきた旅と重なる。この一週間、撮りっぱなしになっていた写真を整理していたこともあり、その旅の姿が頭の中にフラッシュバックする。

 この作品のラストに、青柳さんは客席に向いて台詞を語る。「わたしや、わたしたちが、見ることができなかった、ヒカリを、ヒカリを、ヒカリを、ヒカリを、あなたたちは、あなたたちは、あなたたちは、あなたたちは」――この作品を観ていると、何かを託されたような気持になる。託されて何ができるかといえば書くことくらいだが、それをちゃんとやり遂げなければと改めて思う。ここ最近考えていた「永遠」という言葉が、この作品にも登場する。

 すぐそこで台詞を語る3人の出演者の姿を見ていると、ああ、この人たちは生きているのだなと当たり前のことを思った。

 終演後、初日乾杯を終えると7人ほどで「浪漫房」へ。店内は大賑わいでなかなか注文できず。焼きそばを注文すると取り皿として小鉢が渡される。よっぽど混乱しているのだろうと思っていると、僕の前に座っていたBさんが「私、ちょっと言ってきます」と店員さんに伝えにいく。注文するときも率先して席を立ち店員を呼びに行くBさんの姿を見ていると、「もっと好き勝手に過ごしたほうがいいよ」と余計なことを言ってしまう。あんなこと言わなきゃよかったと今でも引きずっている。もちろん気がきくに越したことはないが、甲斐甲斐しく振舞っているうちにあっという間に時が経ってしまうことを思うと、つい伝えてしまった。