朝7時に起きて、悲鳴をあげそうになる。対談が始まる前に僕が話題にあげ、結果として対談でも語られることになった内容がデマだったと判明したのだ。何てことだ……。夕方まで鬱々と過ごしたのち、新宿に出る。ルミネとNEWoManで服を物色。いくつか気になる服があるけれど、一人で買うのは不安なので、明日知人と再訪することにする。17時半、新宿タカシマヤで『S!』誌の収録。新宿の夜景が見える蕎麦屋だけど空いている。穴場だ。とろろごはんがうまい。収録後、Tさんを先頭に新宿南口を歩く。甲州街道から明治通りを目指していたところでTさんが立ち止まり、「はっちゃん、格安物件があったとして、ここに住みたいと思う?」と言う。答えに窮していると、「俺はね、住みたくないよ」とTさんが言った。Tさんが今の街に絶望的な気持ちであることは前々から知っている。そのことを年少者である僕は寂しく思っているけれど、この風景を前にすると返す言葉がなかった。

 途中でディスクユニオンに立ち寄る。僕は三輪二郎の『レモンサワー』を見つけて購入する。ディスクユニオンの並びには「てんや」がある。その「てんや」を指して、帰国した足立正生若松孝二が天丼をご馳走したのはここだよ、とTさんが教えてくれる。このあたりには老舗の天麩羅屋さんがいくつかある中で、あえて「てんや」というのはすごいセレクトだ。開店したばかりの新宿5丁目「N」に入り、ウィスキーのソーダ割りをいただく。Tさんに促されて、Jさんが皿うどん食品サンプルを取り出す。これは交通会館地下の「桃園」のものだ。「桃園」が閉店することになり、譲ってもらってきたのだという。あの店が先月末で閉店していたなんて知らなかった。カウンターに置かれた皿うどんをまじまじと見つめていた「N」の女性たちは、「さっきごはんを食べたのに、お腹減ってきちゃった」と言ってスナックをつまんでいた。