朝8時に起きて、知人と一緒にアパートを出る。アイスコーヒー(M)を買って、9時50分、東京駅八重洲南口から房総なのはな号に乗る。上総湊駅前でバスを降りると、真夏のような陽射しだ。駅にタクシーのりばがあると書かれていたので、駅まで歩く。たしかにのりばはあるのだが、タクシーは停まっていなかった。そういうこともあるだろうと、看板に書かれていた番号に電話をかけると、「今日はその地域はお休みです」と言われてしまう。そんなことってあるのか。

 仕方なく歩く。今年は曇天続きで「晴れてくれ」と思う日が続いたが、こんな日に限って真夏日だ。汗を噴き出しながら40分ほど歩くと、ようやく目当てのドライブインが見えてくる。もうすぐお昼だというのにカーテンが閉まったままだ。嫌な予感がする。調べてみると木曜が定休日。やってしまった。少し前に取材依頼を送って断られたドライブインが水曜定休で、その店を取材するつもりでGoogleカレンダーに登録しておいた取材予定を、店名だけ変えて登録し直していた。そこで営業時間は調べておいたのだが、定休日を確認しそびれていた。

 がっくりした気持ちで店を通過する。もう一つ先のバス停のほうが近いのだ。バス停にたどり着いたのは11時45分頃で、時刻表を確認すると12時11分のバスがあるようだ。また明日出直そう。そう思い直してバスを待つ。が、定刻を過ぎてもバスはやってこなかった。嫌な予感がする。もう一度時刻表を確認すると、12時11分の横に小さく「土曜・休日運行」とある。ということは、平日は運行しないということか。次のバスはと言うと、14時11分である。

 一段とがっくりした気持ちになり、バス停の目の前にあるラーメン屋に入る。歩いて動けそうな範囲に他に店がなく、日陰になる場所も見当たらなかったので、ここに入ることに決めた。簡素な建物で、あまり大きな看板も出していないのに10人近くが行列を作っている。のどかな土地でこれだけ行列ができるからには、さぞうまいラーメンなのだろう。10分ほど並んで席につき、15分ほど待ったところでラーメンが運ばれてくる。

 ラーメンを待つあいだ、ビールを注文するかどうかずっと迷っていた。一口すすり、我慢してよかったと感じる。とにかくまずいラーメンだ。醤油の風味はかなり漂っているのだが、出汁の存在感がゼロである。おまけに麺はサッポロ一番としか思えない食感だ。チャーシューはしょっぱくて美味しいのだが、どうしてこのラーメンに行列ができるのか不思議だ。かつて『タケシムケン』という番組で「日本一まずいラーメン王」の称号を手にした店で食べたラーメンでさえそこそこ美味しく感じたけれど、今日のは人生で一番まずいラーメンだ。17時頃にはアパートに帰ってきて、翌日のバスの切符を再度手配する。踏んだり蹴ったりの一日。