ずっと原稿に取りかかれずにいる。先週から知人が海外出張中で一人暮らしになってしまっていることと、引越しのことが気にかかっていて落ち着かないのだ。何もせぬまま夜になり、飲みに出る。8月はあまり飲まずに過ごしていたけれど、今月は引越しのことを考えていて落ち着かないので、よく飲みに出かけている。ただ、飲みに誘える友達がおらず、基本的にはひとりで飲んでいる。今日は歩いて新宿を目指す。山手線沿いの道を歩くのもあと何回あるだろう。センチメンタルな気持ちになりつつ、思い出横丁の「T」ヘ。店長がこちらに気づくまで、店の前に立っていると、奥のほうから「ハシモトさん!」という声が聴こえる。えっと思って奥を見ると、テーブル席にA・Iさんの姿が見えた。T・Hさん、Kさん、K・Mさんもいる。今日は「焼き鳥が食べたい」という話になり、この店に来たのだという。センチメンタルな気分になっていただけに嬉しく感じる。店長が他のお客さんを移動させてくれて、カウンターの端、テーブルに一番近い場所に通してくれる。ときどき僕も話に加わったけれど、あまり女子会に混じってしまうと話しづらいだろうと思い、1時間ほど経ったところでそっと会計を済ませ、気づかれないように帰る。新宿通りをずんずん抜け、新宿3丁目「F」に入り、日付が変わる頃まで飲んだ。