朝7時に起きて、ジョギングに出る。豆腐とネギの味噌汁を作り、コーヒーを淹れ、朝食を取りながら新聞を読む。年末に大掃除もせず、今年に入ってからは取材が続き、刷り上がった37通の『手紙』が乱雑に置かれ、部屋が散らかっていた。三月も終わり、新しい日々が始まったのだから、一念発起して大掃除に取りかかる。昼、セブンイレブンで親子丼を買ってきて食す。午後も引き続き大掃除を続ける。夕方頃にようやくひと段落し、提出しなければならなかった書類を発送する手続きをとり、昨日の番組を観て注文が入っていた『月刊ドライブイン』と一緒に郵便局から発送する。

 夜、新宿へ。photographer’s galleryをのぞいたのち、伊勢丹前でA.Iさんと待ち合わせ。歩いていると、まだ桜は咲いてますかねとAさんが言う。まだかろうじて残ってますけど何でですかと訊ねると、ややあって、「早く散ればいいのに」と言う。そうだ、彼女は春が嫌いなのだった。無限チューハイの店の店員さんに「お兄さん!」と声をかけられるも、「また今度きます」と通り過ぎ、新宿三丁目のワイン酒場へ。今日偶然見かけた店だが、なかなかリーズナブルだったので入ってみたのだが、穴場だ。他に誰もお客さんがいないので、僕の声でも話がしやすく、落ち着ける。あれこれ話したのだが、無人島で誰かと二人きりで取り残された場合の話になる。僕は協同して生き延びることしか浮かばなかったが、「殺して肉を食べる」とAさんが言うので愕然とする。

 旅を振り返って話していると、「そういえば、皆で橋本さんの寝顔を見たことがあるんです」と言う。それはツアー最後の地・沖縄に滞在していたときのこと。宿泊していたのはホテルではなく、Airbnbで借りた2DKのマンションだった。そこに一週間滞在し、片方の部屋を男子二人の寝室に、もう片方を女子三人の寝室にしていた。ある日、僕が先にマンションに戻って眠っていた日があるのだが、後から帰ってきて僕の寝顔を見たFさんが、まだリビングにいた女子三人に「橋本さんの寝顔が天使みたいなんだけど」と言って、気になった三人も覗きにきたのだという。僕の寝顔はへんてこなことが多く、ときどき面白がった知人が(なぜか僕のケータイで)写真に収めていることが多いのだが、その日は一体どんな顔をしていたのだろう?