ここ数日の日記に書きそびれていたこと。渋谷すばる脱退の報せに、知人は何度も涙を流していた。Kさんが癌を患ったときにも感じたことだけれども、どうして僕は涙が出ないのだろう。僕がずっと追いかけているバンドがいて、10年前そのバンドに加入したベーシストがいる。彼は僕と同い年だった。僕はそのバンドに同行してアメリカまで行ったり、福岡でライブがあるときには僕も運転手として帯同し、ライブを終えたばかりの彼と交代しながら真夜中のハイウェイを走ったり、いくつも思い出はある。だが、そのベーシストが脱退すると知ったときにも涙は出ず、ただ「今後の活動が楽しみです」とだけ送った。この違いは一体何によるのだろう?

 7時半に起きて、ジョギングに出る。今日は身体が軽く、不忍池をぐるり。帰り道、近所にある「大平製パン」に立ち寄る。谷根千特集なんかでも取り上げられるパン屋さんだが、ジョギングコースにあることを知り、初めて入店。たまごドッグを2個買って、1個は知人に持たせて、1個は自分で食べる。パンがもっちりしていてウマイ。午後には雨が降りそうなので、午前中のうちにスーパーマーケットに出かけておく。昼、キャベツと酒盗のパスタ。午後、次号の『月刊ドライブイン』のゲラを大きめサイズに出力し、取材させてもらった方たちに速達で送る。のち、昨日国会図書館で見つけてきた資料を読み、原稿の構成を練る。

 郵便受けを覗くと、『S!』誌が届いていた。この雑誌に掲載されている対談連載は、日韓ワールドカップに沸いていた2002年に始まり、16年続いた。僕は2012年春から構成を担当するようになったが、今号で最終回を迎えた。最終回の対談も、過剰にセンチメンタルになることもなく、いつもどうりに対談が行われた。この6年間で教わったものはいくつもあるが、何よりは態度に関するものが大きいように思う(最終回を過剰にセンチメンタルにしないこともその一つ)。その態度というのは、もう消えつつある種類のものだ。それを僕が引き継げるとまでは思わないけれど、せめて書き残すことはしなければならないと思っている。

 18時過ぎ、大和芋を焼いたやつをツマミに、ハイボールで晩酌。晩酌しながらも資料を読んで過ごす。20時45分に知人が帰ってきたので、録画してあるテレビを観る。まずは菜々緒主演のドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』。冒頭に幼少期のトラウマを思わせるシーンで始まり、ああ、またこのタイプかと思う。いい加減、すべての動機を幼少期のトラウマに担わせるのはやめればいいのに。舞台は業界最大手の保険会社で、菜々緒は新人研修のために外部から招かれた講師として登場し、無表情で厳しい課題を次々に突きつけてゆく。菜々緒はこういうキツいタイプがハマり役だとは思うけれど、特に目新しいところはなく、こういうキャラクターのドラマというのもここ十年繰り返し観てきた。まあでも、せめて第1話だけは見届けようと頑張る。Sexy Zone佐藤勝利、『PON!』とかで観るときはあんなにキラキラ輝いているのに、ちゃんと冴えない新入社員に見えたところだけは良かった(それが演技によるものかはわからないけれど)。それに続けて、『石橋貴明のたいむとんねる』、『崖っぷちホテル』も観たのだが、さすがに最後まで観れず、安定した面白さの『激レアさんを連れてきた。』を観て寝た。