朝8時まで眠ってしまった。今日のジョギングは諦めて、豆腐とわかめの味噌汁を作って朝食をとる。新聞をざっと読み、ドライブインのテープ起こしを進める。テレビでは事務次官の退職金が話題になっている。退職金を支払うことの是非を問われた財務大臣は、野党から批判の声が上がっているのは承知していると答えた上で、「野党が退職金を支払うのか?」と相変わらずきつい口調で答えている。これは結構な問題発言ではないのか。政府を支える官僚の採用方法には猟官制と資格任用制がある。政党政治が発達する中で、与党となり政権を握った政党が円滑に施策を進めるために、自分たちの政党を支持する人物を官僚に任命する――これが猟官制だ。ただ、このシステムは派閥政治や金権政治に結びつきやすく、現在の日本でも資格任用制――つまり官僚は試験によって採用され、政治に左右されないというシステム――が大前提としてある。

 さて、「野党が退職金を支払うのか?」という発言は、根本的な認識として問題がある。その発言の前提には、野党ではなく、われわれが退職金を支払っているという感覚が透けて見える。だが、資格任用制を採用する日本では、公務員の人事は政党に左右されるものではない。与党と政府は別物であるという前提が抜けてしまっている。そして、「野党が退職金を支払うのか?」という発言には、「野党ではなく、われわれが支払うのだ」という意識がある。事務次官の人事は閣議により決定されるのだから、財務大臣であり副総理でもある彼には、人事に対する発言権は大いにある。だが、退職金を支払うのは彼らではない。財務省の職員に退職金を支払うことに対して、自分たちのポケットマネーで支払うかのような発言は、根本的に問題があるように感じられるのだけれども、特に問題視されていないようだ。

 昼、茹でたスパゲティー鯖缶を混ぜて食す。少しナンプラーを足してみた。午後は引き続きテープ起こしを進める。14時に始まったワイドショーで渋谷駅前の様子が映し出されると、皆傘をさしているので、慌てて洗濯物を取り込んだ。夕方のニュースでは、自衛官が国会議員に「国民の敵だ!」と言った問題について、そうした発言はしておらず、「国益を損なうようなことをしている!」「気持ち悪い!」「バカなのか?」と発言したのだという。どっちかと言えば「国民の敵だ!」と発言したことを認めたほうがマシではなかったか。それであれば、口が滑ったですむかもしれないし、そういった思想を持つ自衛官だっていることは否定しようのないことだ。でも、こんなにいくつも暴言を投げかけ続けるというのはちょっと異様だ。しかも「気持ち悪い!」と「バカなのか?」は普通に人としてアウトだろう。

 19時、新宿西口の「ピース」で待ち合わせ。先週末に取材したドライブインを経営されているご夫婦の長女である方にインタビュー。「私の友人の親がドライブインを経営していて、そのお店がもうすぐ閉店してしまうので、その前にぜひ取材して欲しい」と連絡してくれた人も同席。面白い話が聞けた。21時に別れ、思い出横丁「T」。新人さんが働き始めている。ホッピーセットを飲み終えると、チューハイに切り替える。かつおの刺身。2杯目のチューハイを飲み干したところでお会計をしてもらって、地下鉄に乗る。今日も酔っ払ってはいるけれど、昨日のように何往復もしてしまうことはないだろうなと自分でわかる。反対に、何往復もした挙句に終電を逃してしまう日は、飲み始める前から「今日はそうなってしまうだろうな」という予感がある。この差は一体何だろう。