朝8時に起きる。アップル・ミュージックを開くと、前野健太の新譜『サクラ』が配信されている。それを聴きながらアパートを出て、近所の「ベーカリーミウラ」まで散歩。すごい風でびしょ濡れだ。「ベーカリーミウラ」に着いてみると、パンは並んでいなかった。今日はパンはお休みだという。今度から確認してからこよう。代わりに大平製パンで買い物をして帰る。『サクラ』、良い曲が多く、特に「大通りのブルース」が印象的。ただ、アレンジが歌詞とリンクし過ぎていて、説明的に感じられるところがある。

 あんまり雨風が強いので、知人は家で仕事をすることにしたという。コーヒーを飲んで、先週取材したドライブインの原稿を書く。昼、キャベツと酒盗のパスタを作り、知人と食べる。昼過ぎには雨が上がり、洗濯機をまわし、洗い物をする。僕も亀の子スポンジを愛用してます。14時過ぎ、ジョギングに出る。雨が上がったばかりだというのに、不忍池界隈には日光浴をする人たちがあふれている。シャワーを浴びて、高田馬場へ。山手線のホームを降りて、何も考えずに「こっちだろう」という方向に進んだのだが、それは反対方向だった。

席につくと、前回も置かれていた『東京カレンダー』(3月号)と『smart』(3月号)が置かれている。『smart』という年代でもないけどなと思いつつも手に取ると、芸人の部屋が掲載されており、そこに三四郎・相田の部屋も登場する。先週の『三四郎オールナイトニッポン0』は参宮橋にある相田の自宅から、エミネムを流して餃子を作りながら放送するという気の触れた内容だった。その番組では相田の部屋のことがよく話題にあがるので、「おお、これが噂のウォーターサーバーか」と興味深く読んだ。知人から「相田に似てる」と言われたことがあり、勝手に親近感を抱いているのだが、「部屋着はユニクロのフリース」と相田が答えている。彼が身にまとっている部屋着は、僕の部屋着とまったく同じだ。色まで一緒で驚く。

 17時半、新宿に出る。「らんぶる」でブレンドを飲んだのち、ディスクユニオン前野健太『サクラ』を購入し、新宿5丁目にある「げんかい食堂」へ。今日は『S!』誌の打ち上げとして、Tさんに誘っていただいた。お店を選んだのもTさんである。同じ敷地にある「玄海」は高級店だが、こちらは5000円で飲み放題付きとリーズナブルだ。しかも水炊きはおかわりし放題。編集部のHさんが「こんなとこにこんな店があるんすね」と言うと、「こんなところだからなんだよね」とTさん。道路を渡った向こう側は赤線地帯だから、その前に精をつける店だったのだ、と。

「連載が終わってから、Tさんに話を聞きたいような出来事が次々と起こる」。編集部のMさんはそう語るが、本当にその通りだ。この日も事務次官の話や衣笠祥雄の訃報、リニューアルされた雑誌のことなど、あれこれ話を聞く。印象的だったのは震度6強以上の地震で倒壊するおそれのある建物リストの話だ。渋谷109やニュー新橋ビル、紀伊國屋ビルがリストに入っていることは知っていたけれど、「あのリストの中にね、繁寿司ってのが入ってるんだよ」とTさんは語る。「他はテナントビルやマンションだったりするのに、なぜか普通のお寿司屋さんが含まれていて、調べてみると普通の二階建ての建物なわけ。それならもっと危険な建物はいくらでもありそうなのに、なぜか繁寿司が入ってるんだよ。地震が起こるかもしれないと言われているXデーは繁寿司で過ごさなきゃなと思ってたんだけど、そこは武蔵村山のお店で、すごく行きづらいんだよね」。僕が「さすが」なんて言うのも畏れ多いけれど、細かいところまで読まれている。

一軒目はTさんがご馳走してくれた。20時半に新宿5丁目「N」に流れると、この時間だというのに大賑わいだ。ここは『S!』誌で角のボトルを入れて、ハイボールをいただく。2時間ほどでボトルは空になり、帰途につく。今日は酔っ払い過ぎないように、1軒目ではビールばかり飲んで、チェイサーにお水も飲んでいた。そのおかげで、いつものように地下鉄を何往復もせずに済み、千駄木で電車を降りる。その瞬間に、リュックを背負っていないことに気づく。