朝8時に起きて、ジョギングに出る。不忍池をぐるり。「ベーカリーミウラ」でレーズン食パンを買ってきて、コーヒーを淹れて朝食。ドライブインの原稿を書いたのち、12時、千代田線に乗って金町へ。昨晩電車に置き残してしまっていたリュックを受け取り、さて、どうしよう。金町というのは初めて訪れる町なので、せっかくだから散策する。お年寄りの姿が目立つ。こじんまりとした良い町だ。川魚料理の店や中華料理店、シウマイと餃子の持ち帰り専門店など気になる店はあったけれど、お昼は居酒屋で営業している「若」という店に入り、牛もつ煮込み定食をいただく。

 食事を終えて駅まで戻る。最初に降り立ったときから、気になっていた店があった。駅前ビルに入っている喫茶店「田園」だ。階段を上がって中に入ってみると、良い雰囲気だ。ブレンドを注文。常磐線のホームと同じ高さにあり、ホームの様子が見渡せる。内装も昔ながらの喫茶店といった趣き。常連客らしきお母さんたちは、帰り際に自分でティーカップを下げていた。1時間ほど原稿を考えて、千駄木まで引き返す。今度また遊びにこよう。

 18時半、渋谷「La.mama」。今日は友川カズキ向井秀徳によるツーマンライブだ。友人のA・Iさん、そしてW・Sさんと一緒。ステージ上にはいいちこカップと氷が置かれており、やはり今日はそちらからだろうなと思っていたところに、向井秀徳アコースティック&エレクトリックが登場する。ここ最近の弾き語りは本当に熱がこもっていて、なおかつ、毎回ニュアンスが違っている。向井さんの表現は反復という側面が多いので、こんなに毎回印象が違うのはとても珍しいことだ。最後には「自問自答」まで演奏された。そこには、これもまた珍しくアドリブが加えられている箇所もあった。そこでキーワードになっているのは「川崎」であり、川崎といえば友川カズキのホームグラウンドだ。

 それほどの演奏のあとだけに、友川カズキには物足りなさをおぼえる。冒頭の「最近調子が悪くてお酒を飲んでないんだけど、リハーサルのときに向井さんとすれ違ったらものすごいお酒の匂いがして、ホームレスかと思った」といったMCから違和感をおぼえる。もちろん諧謔として言っているとしても、それをハハハと笑って聞いている観客も含めて、どこか弛緩している。「あんなの銃殺だよね」と言うMCを笑って聞いている自分たちについて、観客はどこまで意識的でいるのだろう。そうした観客のありかたも含めて、そこにある単位が「私」ではなく「我々」であるような感触があり、最後まで乗り切れなかった。終演後は「山家」で乾杯、終電で滑り込み帰途につく。