朝7時に起きて、ジョギングに出る。不忍池をぐるり。昨日の残りのレーズン食パンを食べながら、そわそわした気持ちで過ごす。11時半にインターホンが鳴り、『月刊ドライブイン』(10)が届く。話を聞かせてもらった清武さんという方の写真は逆光で撮影してしまったため、ちょっと迫力のある仕上がりになっているけれど、大きな印刷ミスなどはなさそうでホッとする。すぐに30冊だけリュックに詰めて、そこにコーヒーを入れた魔法瓶と黄色のマグカップも詰め込んで、うきうきとした気持ちで知人と一緒にアパートを出た。森鴎外記念館にはもう一箱が並んでいる。

 12時、「古書信天翁」に納品すると、1階にオープンしたばかりの台湾料理店に入る。入るというよりも軒先の席に陣取り、ビールで乾杯。今日は一箱古本市で街が賑わう日だということもあり、「信天翁」にだけ納品して先行販売することにした。なので、今日はもう、完成を祝って酒を飲むだけだ。魯肉飯と台湾風唐揚げを注文。どのあたりが台湾風なのかと思ったら、八角の匂いがする。うまい。ビールをお代わりして、小籠包も頼んだ。ゴールデンウィークということもあり、結構な人出である。看板を見て、小さな女の子が「ママ、魯肉飯だって!」と叫んでいて驚く。どうして読み方を知っているのだろう。僕が小さい頃は魯肉飯の存在さえ知らなかった。

 そこで飲んでいるとビールが1杯500円かかるので、向かいの酒屋で缶ビールを購入し、ビルの前に置かれたベンチで飲むことにする。「今日はこれからどうすんの?」と知人が訊く。「どうするのって、ここで飲んだくれるだけだけど」と僕。「えっ、ここにいたら誰か知り合いがきてくれると思ってるの?」と悲しいことを言われつつ、ひたすらビールを飲んだ。いろんな犬も行き交う。5杯目を飲んだところで15時、知人は銭湯に出かけた。太陽の位置が変わり、ベンチに座っているとじりじりやかれるようになってきたので日陰に避難し、ビールを飲み続けた。途中でひとりだけ足を運んでくれた人がいたけれど、「信天翁」には上がることなく帰ってゆく。

 17時、銭湯から帰ってきた知人とふたりで浅草橋に出かける。最近ずっと食べてみたいと思っていた平壌冷麺を出す店を見つけたので、今日の夕食はそこで食べようと決めていた。朝鮮半島の分断は日本の焼肉店にも影を落としていて、ある時期までは「朝鮮焼肉」と看板を出すお店と「韓式焼肉」と看板を出すお店があったと読んだことがあり、どんな違いがあるのかと気になっていた。浅草橋の「SUNMOON」というお店に入り、何皿か焼肉も食べたのち、平壌冷麺を注文する。うまい。冷麺とはこんなに美味しいものだったのか。一緒に添えられていたカプサイシンソース、最近はもう辛いものに慣れたから平気だろうと小さじ一杯入れると激辛になり、驚く。夕餉を終えて「信天翁」に戻ると、今日売れたのは5冊だという。30冊も納品したことが恥ずかしくなり、5冊というのが多いのか少ないのかはあまり考えないようにしてアパートに帰った。