朝7時に起きて、ジョギングに出る。腰に違和感があり、不忍池をぐるりと走るのではなく、不忍池をちらりと眺めて引き返す。帰りにパン屋さんに立ち寄り、レーズン食パンと、花を一輪買う。花を売っているお兄さんが「お近くにお住まいなんですか?」と初めて話しかけてくれる。月曜日、研いでもらった包丁を引き取りに谷中ぎんざまで出かけたとき、酒屋の軒先で飲んでいるお兄さんと目があって、お互いに会釈していたのだ。団子坂の上のほうなんですと答えると、休日や仕事帰りにはあそこで飲んで帰るんですとお兄さんが言う。

 コーヒーを淹れてパンを食べて、『月刊ドライブイン』の原稿を書き始める。三陸海岸沿いにあるお店のこと。昼、キャベツとアンチョビのパスタを作る。昨日の反省を活かしてアンチョビを細かく切ってからキャベツと和えたのだが、やはりまだ味にばらつきがある。午後も引き続き原稿を書く。どういうわけだか腰がひどく痛むので、姿勢を変えながら書く。18時、皿を持参して近くの鶏肉屋さんに行き、焼き鳥6本(518円)買ってくる。もう飲みに出かけたい気持ちを押さえて、お茶を飲んで原稿を書き続ける。21時過ぎに知人が帰宅したので、お酒を飲み始めることにする。

 知人が作ってくれた水餃子と、僕が買ってきておいたカツオの刺身をツマミに、『いしばしたいむとんねる』観る。初回放送のゲストが工藤静香で、なんだ、「テレビというメディアはもう終わってしまって、新しいものを生み出せない」という考えに寄った、昔話を懐かしむだけの番組かと思って、録画しながらも視聴せずにいたのだが、最新回は柳沢慎吾がゲストだというので観る。大スターたちとのエピソードを柳沢慎吾がひたすらに語るという内容で、懐かしむ方向ではあるのだが、柳沢慎吾が抜群に面白かった。メインMCのふたりがほとんど入る隙もないほど語り倒す。

 それにしても、柳沢慎吾の頭の中はどうなっているのだろう。若山富三郎とのエピソードを披露する中で、撮影所で初めて若山富三郎と遭遇した際、「ちーっす」と挨拶したところ、あとで部屋に呼び出され、無言で凝視され続けたというエピソードを語っていたのだが、どうして「ちーっす」なんて挨拶をしたのかがまったくわからない。おそろしい人だ。番組を観終えたところで、ハイボールを飲みつつ、引き続き原稿を書く。今日一日で25枚近く書いた。あと一息で完成させられるのだが、とても繊細なことに触れなければならないので、明日完成させることにする。

 ウィスキーを飲みつつ、『アメトーーク』。今日は「(仮)バラシ芸人」だ。キャスティングしたい第一希望の芸人のスケジュールが確約できない場合、第二希望の芸人のスケジュールを「(仮)」で押さえておく。もし第一希望の芸人が出演できることになった場合、第二希望の芸人の出演は“バラシ”となる。ただ、「(仮)」の段階で本人にもスケジュールは連絡が行くので、「ああ、俺は呼ばれなかったんだな……」と知ることになる。その悲哀を語る企画。面白かったのは、最後に「(仮)」のスケジュールにさえ呼ばれない芸人が存在することにまで触れられていたこと。楽しく観たのだが、一晩経ってこうして日記を書きながら、「芸人」を「ライター」に置き換えてみたときに、自分がどの位置になるのか考えてみると、えぐられるような心地がする。