7時過ぎに起きて、展示の準備をする。本屋Titleの「手紙」展で展示するのは、知人宛てに送っていた手紙だ。それをそのまま貼り出してしまうと知人の住所と名前も展示することになってしまうので、はがせるタイプのラベルシールにTitleの住所を印字し、知人の住所と名前を隠すようにそれを貼り付ける。そして、どの壁にどういう感覚で手紙を貼るのかという設計図を作り、展示に向けたテキストを考える。そうこうしているうちにあっという間にお昼だ。中華料理店「砺波」にはカニのツメフライ入りラーメンというメニューがあり、以前から気になっていたのだが、食べるとすれば展覧会を翌日に控えた今日ではないか。そう思って足を運んでみたものの店は閉まっており、迷った挙句に駅前の立ち食いそばで280円の春菊天そばを食べた。

 12時半に日暮里駅前でレンタカーを借りて、西を目指す。お金を節約しようと一般道優先のルートで出発したのだが、やるべきことが山積みの今日は時間を優先するべきだと思い直し、高速道路を通るルートに設定し直す。14時、マームの倉庫で実子さんと待ち合わせて、「手紙」展の会場に置かせてもらう小道具を借りる。せっかくだから「みえるわ」で使った小道具を置いたらいいんじゃないかと青柳さんから提案してもらって、絨毯とミシン台、それにライトを借り受ける。レンタカー台を少しでも節約するべく、ワンボックスではなくトールワゴン型のコンパクトカーを借りていた。もちろんサイズを調べた上で借りていたものの、本当に積みきれるだろうかと少し不安になっていたので、無事に詰めてホッとする。

 15分ほどで作業を終えて、倉庫をあとにする。帰りは最初から高速優先のルートを選んだが、事故渋滞があると表示されていたので少し手前で高速道路を降りた。ナビは再び高速道路に誘導しようとしてくる。そこが目白通りであることに気づき、ナビを切って走る。目白通りだとわかれば、こちらも勝手を知っている。山手通りを経由して池袋に出て、「古書往来座」に立ち寄る。「はっちが手ぶらって珍しいね」とセトさんが言う。明日は展示の搬入があるので、そのための荷物を積んで車で帰ってきたんですと答えると、「そっか、搬入か」とセトさん。数秒あって、ハンニュウユズル、と照れくさそうにセトさんがつぶやく。

 クルマをコインパーキングに停めたいところだが、昼間の時間帯は料金が高く、少しでも節約しようと上野桜木にあるデニーズ。まだ「ファミレス」ではなく「ファミリーレストラン」だった時代を感じさせる内装だ。コーヒーを飲みながら、展示に向けたテキストを考える。今回はマームとジプシーをドキュメントした書籍だけでなく、『HB』や『hb paper』も物販に並べるつもりなので、それぞれの説明文を考える。18時、うちのアパートの目の前にあるコインパーキングへ。20時までは20分で200円かかるけれど、20時から8時は最大料金500円と書かれてあり、それはこの地域でも最安値に近いようだ。使い慣れていないので不安が強く、コールセンターに電話をかける。この掲示を見る限り、今から停めて明朝8時までにクルマを出せば1100円という計算になるけれど、それで間違いないかと確かめる。間違いないですという言葉に安心して、クルマを停めた。

 明日から始まる「手紙」展では、「手紙」を展示するだけではなく、販売もしてもらう。全37通の「手紙」をソファに並べて、1通目から順にセットを作る。中腰での作業になるので腰が痛く、何セットか作っては横になり、何セットか作っては横になりを繰り返し、出来上がったセットを封筒に入れておく。明日は10時半に搬入を始めて、12時にはオープンだ。本当に90分で終えられるだろうかと不安になり、明日持って行く物リストを作った上で、イメージしながらシミュレーションを繰り返し、明日の段取りをメモ。不安な気持ちでハイボールを飲みつつ、『水曜日のダウンタウン』を眺めた。