4時過ぎに目覚める。つけっぱなしになっていたテレビでは、安室さんのラストライブの映像が流れている。セットリストは最近の曲と、誰かとコラボした曲に限られている。ツアーファイナルで「いち音楽ファンとして皆さんの素晴らしい毎日の中に、素晴らしい音楽が常にあふれているよう、常に心からそう願っています。これからもすてきな音楽にたくさん、たくさんぜひ出会ってください」と語っていたが、まさにその言葉通りの構成だ。後ろを振り返るのではなく最新の曲で、しかも「こんなにも素敵なアーティストたちがいる」とコラボする。そこに明確な意思を感じる。

 7時半に布団から這い出して、荷造りを済ませ、昨日のうちに買っておいたオレンジピールのパンで朝食をとる。『スッキリ!』ではハリセンボンの春菜が宜野湾の海から中継している。今からここに行くのだなあ。10時半にアパートを出て、スカイライナーで成田空港へ。第三ターミナルまで延々歩いていると、安室さんのツアーTシャツを着た二人組とすれ違う。ああ、観に行ってたんですねえ。荷物を預け、リンガーハットでちゃんぽんを食したのち、12時25分発のジェットスター便に搭乗する。

 一ヶ月ぶりに訪れた那覇空港は静まり返っていた。こんなに静かだっただろうか。ロビーの至るところにTシャツを身にまとったファンの姿がある。引退した翌日の沖縄だ。タクシーに乗ってゲストハウスに向かい、チェックインを済ませて第一牧志公設市場へ。顔見知りになったお店にご挨拶。ほどなくして日が暮れて、せんべろをやっている「足立屋」というお店へ。お店の壁に「商標登録 足立屋 千ベロ」とあり、千ベロが商標登録されているのかと思って尋ねてみると「いやいや、商標登録してあるのは『足立屋』です。『千ベロ』は、さすがに、らもさんのものですから」と店員さんが言う。とてもまっとうな店だ。そして、やはりここが沖縄にせんべろをもたらした店であるらしかった。

 4杯で切り上げて、夜の道を歩き、栄町市場にある「うりずん」。有名店であり、観光のお客さんのほうが多いが、思い出の店でもあり、カウンターの中で働かれている店員さんの動きが素敵だ。いつも淡々と飲んでいるおかげでおぼえてくださっていて、前におすすめしてもらった泡盛を今日も注文する。からからを飲み干したところで店を出て、桜坂にあるバーまで引き返し、Nさんと待ち合わせ。Nさんは昨日まで展覧会が開催されていた場所で働かれている。その賑わいを聞かせてもらって、自分も展覧会に出かけたような気分になりつつ、23時過ぎまでビールを飲んだ。