目を覚ますともう9時だ。ジョギングは諦めて、セブンイレブンでトマトとチーズのもっちりピザパンを買ってくる。グリルで少し焼いて、コーヒーを淹れて朝食。昨日、サーモスの1リットル入り魔法瓶が届いたので、コーヒーを保温しておく。遅れておきてきた知人は、魔法瓶からコーヒーを注ぎ、「便利!」と言う。食事を終えると、湯に浸かりながら『鶴見俊輔伝』を読み始める。

 昼、知人と一緒に近所のお蕎麦屋さんに出かけ、ビールと鴨南蛮を注文する。胃にむかつきがあり、うまくそばを啜れず。胃が疲れているのか、最近は朝起きて水を飲むと、胃から何かが上がってくる感じがする(吐き気がするということではなく)。ぼそぼそとそばを食べ終えると、帰り際に「書を書いてるんだけど、よかったら」とお店のお父さんが色紙をプレゼントしてくれる。「猪」と書かれた色紙。午後、パリのドキュメントを推敲し、メールで送信。たくさんの方の発言が登場するので、編集部に送る前に、フルバージョンの原稿と、その方が登場するあたりだけを抜き出した原稿とを、各所に送る。

 19時に坂を下り、スーパーマーケットで買い物。今日はトマトと卵の炒め物と麻婆豆腐にしよう。そう決めてアパートを出たのだが、たらの芽の天ぷらが4割引になっていたので、それもカゴに入れる。アパートに戻るとチューハイで乾杯し、たらの芽の天ぷらを食べながら録画したドラマを観る。まずは昨晩放送されていた『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』。知人は「キャスティングが豪華だわ」と繰り返し言う。第1話は、解散したいと思っているのに解散させてもらえず、あえて不祥事を起こそうとし、生放送で謝罪させられるアイドルグループが登場する。これが1月10日に放送されるというのは、何という偶然だろう。生放送で謝罪をするシーンで、知人は「SMAPを思い出す」と語っていた。最近のフジテレビは踏み込んだ企画をやっていることが多い気がする。

 続けて『ゆうべはお楽しみでしたね』観る。MMORPGの『ドラゴンクエストⅩ』で知り合ったゴロー(本田翼)とパウダー(岡山天音)が、ふとしたきっかけでルームシェアを始める。初めてオフラインで会ったふたりは、ゴローが女性で、パウダーが男性だということを知り、驚く――のだけど、動揺するパウダーをよそに、ゴローはどういうわけかすぐにルームシェアを受け入れ、第1話の最後にはおかゆまで作ってくれている。もちろん「外見ではなく、その人の言動が本体だ」と言いたいのはわかるけれど、だとしたら出会ったときから平然として欲しいし、一度「マジかよ」という空気になったはずなのに、そこからすんなり受け入れるのは都合が良過ぎる――とぶつくさ言っていると、「いいの、漫画が原作なんだから」と知人が言う。前は本田翼のことを嫌っていたのに、『絶対零度』というドラマを観て評価が180度変わったようだ。

 最後に映画『スリービルボード』を観た。最近、ネットで真犯人を解説したブログが話題になっていて、その触りだけ読んでいたけれど、映画を観終わった今では「あのブログは一体何だったんだろう?」という気持ちだ。言葉は誰のものでもないのだから、誰だって好きなように文章を書くことはできる。でも、自分には知識があり、なにかを見抜く目があるのだと評価されたいがために書かれた文章というのは、僕にとってほとんど意味をなさない文章だ。自分でリトルマガジンを始めたばかりの頃、少し年上の人たちから、(当時はそんな言葉は自分の語彙になかったけれど)マウンティングをされたことを思い出す。今思えば、そんなふうに接してきた人たちは自分で何かをやっている人ではなかったなということも、妙に懐かしく思い出す。