8月8日

 8時すぎに起きて、シャワーを浴びる。先に知人が使っていたバスタオルを手に取ると、カビくさい臭いがする。バスタオルは毎日取り替えているけれど、洗いたてなのに、少し濡れるとカビくさくなる。光に透かすとうっすら赤みを帯びている。調べてみると、赤カビであるらしかった。バスタオルは濡れた状態で置いておかれる時間が長く、カビが繁殖しやすいのだという。その臭いが急に腹立たしくなり、うちにあるすべてのバスタオルを取り出し、一枚ずつ煮沸し、風呂桶に入れ、洗剤と漂白剤を注ぎ、熱湯をかけてつけ置きする。それを5枚ぶん繰り返して、最後に洗濯機で洗う。お昼時になってようやく作業を終えて、干す。

 午後、メールを書く。昨日思い浮かんだ企画を相談するならこの人では、という方に、提案のメールを送る。まだ企画が実現するかどうかわからないけれど、各都道府県の郷土料理店を探し出して、リストアップする。18時頃にアパートを出て、「越後屋本店」でビールを飲んで、惣菜と食材を購入する。20時過ぎ、仕事帰りの知人と晩酌。昨日録画しておいた『甲子園とオバーと爆弾なべ』を観る。沖縄水産沖縄県勢として初めて甲子園の決勝に進んだ1990年の夏が舞台のドラマだ。『市場界隈』を取材していたときにも、平和通りが二つに分かれるところにテレビが設置されて、大勢で試合のゆくえを見守ったのだという話を何度か聞いたことがある。このドラマも、まさに市場界隈が舞台となる。そこで食堂を営んでいる老夫婦が主人公だ。しかし、観始めてみると、悪い意味でNHKらしいドラマだ。会話の間があまりにも説明的で驚く。また、冒頭に甲子園を勝ち進む映像が流れたあとは、30分近く甲子園には触れられず、沖縄の戦後のあゆみが随所に挟まれる。ガマフヤーとして活動される方や、戦争で家族を亡くした方達が本人役として出演すると、ドラマは一時中断されて、ドキュメンタリー的に語り出す。訴えたいことが山のようにあるのは重々わかるけれど、これで関心を持たせるきっかけになるだろうか。そのように説明的に挟まれる映像で誰かの心を動かすことができるのであれば、こんな世界にはなっていないはずだ。ドラマとして撮るのであれば、どうしてもっとフィクションに賭けないのだろう。そのような説明を挟む一方で、路地で撮影された映像の中に、せんべろやタピオカかき氷店が映り込んでいて、そこは触れられないまま過ぎていく。あえて現在の風景を交差させるというには中途半端だし、そこが映ってしまわないように撮影することだってできたはずなのに、そのあたりも何となくで処理されているように感じてしまう。このテーマでドラマを作り込めば、これまで沖縄に関心を抱いてこなかった人にも何かの種を渡すことができるはずなのに、ただただ残念な気持ちで観終える。