8月20日

 7時に起きて、シャワーを浴びる。ゆっくりと荷物をまとめて、いざチェックアウトしようとしたところで、眼鏡が見当たらないことに気づく。布団の間をめくってみたり、ベッドの下をライトで照らしてみたり、洗面台の隙間を探してみたりしたが見当たらず、ぼやけた視界のまま宿を出る。ゆいレールに乗って那覇空港に到着する。車体に「DMMかりゆし水族館」が近いうちにオープンするとプリントされていた。新しい水族館が建設中だなんて知らなかった。

 フライトまで1時間あるので、荷物を預けたあとで朝食をとり、お土産を探すつもりでいたけれど、チェックインカウンターを見てギョッとする。そこには200人以上が列を作っている。すぐに最後尾に並んだものの、当然ながら少しずつしか列は進まず、あっという間に30分が経過し、「羽田行きのお客様、手を上げて係員にお知らせください!」とアナウンス。たった今空港に到着したばかりの人に混じって優先レーンに並ぶことになり、いや違うんだ、僕は1時間前にきていたんですと言い訳したい気持ちに駆られながら荷物を預ける。この1年、ジェットスタースカイマークしか利用してこなかったけれど、振り返ってみるとJALANAのカウンターにはいつも長蛇の列が出来ていた。格安の航空会社のほうがスムーズに手続きが出来るというのは、なんという矛盾だろう。次回からはスカイマークを選ぶことにしようと思う。

 保安検査場を通過できたのは、フライトの15分前だ。急いで搭乗ゲートに行ってみると、ようやく優先搭乗が始まったところだ。売店でじゅーしーおにぎり(2個入)と雪塩ちんすこう、それに琉球新報を購入する。ベンチに座っておにぎりを平らげて、飛行機に乗り込んだ。機内ではずっと連載の企画書を書いていた。14時半に羽田空港に到着し、ロビーで天ぷらそばを食べてから荷物を受け取り、15時20分に千駄木駅まで帰ってくる。地上に出てみると、今にも雨が降り出しそうだ。

 アパートに着くなり横になり、しばらく休憩する。テレビをつけて、宅外視聴で観ていたドラマ『サ道』を見返す。スムーズに視聴できるように画質を落として視聴していたので、細かい細部は見えていなかったけれど、やはりきちんとした画質で観なければ意味がないなと思い直す。ネット環境がなくても宅外視聴できるように設定できないかと調べてみたけれど、うちにあるハードディスクレコーダーは2016年に発売されたもので、まだその機能は搭載されていないらしかった。これからも沖縄に通う日々が続くことを考えると、録画した番組をサクサク観ることができないのは痛手だ。最新のハードディスクレコーダーを物色しながら、迷う。

 日が暮れる頃になって体を起こし、スーツケースを開いて、荷物を片づけてゆく。すべての荷物を取り出すと、底から眼鏡が出てくる。どうしてこんなところに……。一段と緩んでしまった感じがするけれど、その眼鏡をかけてアパートを出て、「越後屋本店」でアサヒスーパードライ。帰りにスーパーで買い物をして、スパイスからキーマカレーを作る。二度目なのでスムーズに作ることができたけれど、一番手間取るのは玉ねぎのみじん切りだ。包丁の切れ味も落ちているので、近いうちに研ぎ屋に持っていきたいところ。

 仕事帰りの知人と乾杯して、カレーをツマミに晩酌。録画しておいた『ENGEIグランドスラム』を観る。トップバッターとして漫才を披露したのがキングコングだということに納得がいかなかった。どれだけ舞台に立っているのか知らないけれど、特に西野の滑舌がズタボロで、ほとんど何を言っているのかわからなかった。番組はどういうつもりで彼らを(トップに据えたのか、ではなく、そもそも)出演させたのだろう。それとは対照的に、「流石だ」と惚れ惚れしながら観たのはNON STYLE。漫才の終盤、そこまでのテンポに比べると短めのボケをスパンと入れて、そこから自然に井上がボケに回るCメロのようなゾーンに突入するのはすごい構成だ。和牛も面白かった。前からすごく好きだけど、これまで観たことのある漫才は、ふたりのキャラクターを前面に出せるような設定を考え抜いて、それを漫才コントとして披露するという構成だったけれど、特に設定に入らないままにらしさ全開の漫才で、とても面白かった。 

 もう一つ印象的だったのは、時事的なテーマなネタがちらほらあったこと。ハライチは「政治家を(アイドルのように)推す」、フットボールアワーは「生放送だとバレたくない」(GWのときに「旅行などで自宅に不在だと発信してしまうと空き巣に狙われる」とワイドショーで注意喚起していて、コメンテーターが「僕らは自宅にいないとバレている」と話しているのを観た記憶がある)、ハナコは「発表」(新元号の発表)、かが屋「年金を払ってない女」。時事ネタといっても、「時事ネタに切り込んで風刺してやる」という感じではまったくなく、ごく自然にネタに取り込まれているぶん印象深かった。