9月10日

 中華街のホテルで目を覚ます。珍しく二日酔いだ。飲み会で紹興酒を飲んでいると、くいくい飲んでしまって、決まってこうなる。昨日は一日中電車に乗りながらパソコンで作業をしていたこともあり、自分なりのストレッチをいくらやってみても身体が重く感じられる。レイトチェックアウトに切り替えて、部屋でのんびり過ごす。知人はパソコンを広げて作業をしている。11時半にチェックアウトして、「南粤美食」でお昼ごはん。水餃子にワンタン麺、それに蒸し鶏とごはんのプレート。上品な味で、追加でもう1杯ラーメンを食べられそうな感じがする。

 12時に劇場に入り、ファミリーマートで買ってきたアイスコーヒーを飲みながら、これから収録する座談会のことを想像して過ごす。ちゃんと話せるだろうか。昨日の作品を観ていてあらためて思ったけれど、言葉にならないことを表現している人たちでもあり、その活動について言葉で話すことが本当に可能だろうか。不安に思っているうちに15時になり、全員が揃ったところで座談会の収録を始める。1時間ほどで終了。いちばん近い場所に座っていたこともあるのかもしれないけれど、北川さんも、言葉にしづらいところを言葉で伝えようとしてくれて、嬉しくなる。

 座談会が終わるとすぐに劇場を出て、元町・中華街駅から電車に乗り、すぐにテープ起こしに取りかかろうとする。パソコンに音源データを写し、音声を再生しようとすると、なぜか再生できず、まさかデータが破損しているのかとしばし焦る。パソコンを再起動すると、無事再生できたのでホッとする。取材の時はやはり二台まわしておかないと危険だ。明治神宮前駅まではもちろん座って作業できた上に、そこから千駄木駅までも座ることができて、ずっとテープ起こしをしていた。

 アパートに戻り、テープを起こし終えると、そのまま構成に取りかかる。「21時までには」と思っていたけれど、16時半に収録が終わった1時間の座談会を「21時までには」というのはやはり無理だった(インタビューなら可能だったかもしれないけれど、皆の声を判別しながらだとどうしても時間がかかる)。22時に前半の構成を終えて、そこまでのデータを送り、23時半にすべての構成を終える。ちょうどその頃に知人が帰ってくる。さっきまで雷も鳴っていたせいか、知人は「頭が痛い」とずっと言っていて、買ってきた缶ビールの蓋も開けないまま眠ってしまう。