10月1日

 7時に起きる。J-WAVEをかけ、別所哲也の番組を聴いていると、「こじらせ家事男子」という言葉が紹介されている。たとえば僕のように、洗濯に対してやたらとこだわっている面倒くさい男をそう呼ぶのかと思って聴いていたけれど、どうもそうではなさそうだ。あるグループが、「職場で女性に差別的である人ほど、家庭で家事をしない傾向がある」はずだと思って社会調査をしたところ、反対に「職場で女性に差別的である人ほど、家庭で家事をする傾向がある」という結果が出たのだという。その流れで別所哲也が「皿洗いやゴミ出しぐらいはやっていかないと」と発言していて、このご時世に、と思う。

 茹で玉子を食べながら、琉球新報朝日新聞を読む。石垣島で買ってきてから重宝しているピパーチに関する記事がある。ピパーチは八重山でしか食べられておらず、沖縄本島では馴染みが薄いので、これを普及させる活動をしている男性が紹介されているのだが、今まで「ピバーチ」だと思っていたが、「ピパーチ」と表記されている。この1ヶ月間、ずっと間違っておぼえていた。

 朝日新聞は紙とデジタルを両方取っていたけれど、紙だと東京を離れている期間が無駄になってしまうので、昨日でデジタルだけの購読に切り替えた。販売所に電話をかけるとき、別に新聞を読むのをやめるわけないのだと伝えたくて、「紙とデジタルを取っていたんですけど、デジタルだけに絞ろうと思ってまして」と余計な断りを入れたけれど、販売所の人からすると新聞を読み続けるかどうかなどどうでもよくて、紙で取ってくれなければ何の意味もないだろうなと後になって気づいた。

 昼近くになって、昨日ネット通販で注文したハードディスクレコーダーが届く。すぐに設定にとりかかるも、アパートの壁にあるテレビの穴は、テレビの数年前から使っているハードディスクレコーダーで塞がっているので、分配器が必要だと気づく。設定を中断して、近所の八百屋に出かける。停まっていたトラックに何気なく視線を向けると、紙パックの梨ジュースが置かれている。梨ジュースなんてのもあるのか。アパートに戻り、納豆オクラ豆腐そばを作って平らげたのち、F.Yさんを取材した原稿を完成させる。

 16時過ぎ、千代田線で日比谷に出て、有楽町のビックカメラへ。テレビの分配器とブルーレイディスクを購入し、ソーダストリームのボンベを交換する。増税当日だからだろう、心なしか空いている。ビックカメラを出て、東京駅方面に向かって歩く。銀座インズの角を曲がると、途端に寂しい風景になる。どこかの地方都市のようだ。八重洲ブックセンターはこんな大きさだったっけかと不思議な感じがする。東京駅のJRバスの窓口に行き、予約していたチケットをキャンセルして返金してもらう。隣ではアジア系の若者がやりとりしていたのだが、「とにかく、ここに小銭を持ってこられても困りますから、銀行で換金してきてください。この時間に営業してるかどうか、わかりませんけどね」とあしらわれている。来年にはオリンピックが開催されるのになと思う。

 山手線で大塚に出て、北口にある酒場へ。つい数日前にも大塚を訪れているけれど、日が暮れたあとで歩いてみると、印象がまた違ってくる。屋台村みたいな場所が作られていて、駅前には小洒落たビルがあり、サラリーマンが合コンのような飲み会を開いているのが見える。それは星野リゾートが手がけたビルだと後で知った。今日から知人は文美さんの作品を手伝っていて、稽古終わりで飲んでいるところに混ぜてもらう。今年初のさんまを食べる。19時に一度おひらきとなり、知人、それに以前から「もふさんと飲みたい」と言ってくれていたこーじさんとで、文美さんが作品を制作している現場からすぐ近くにある「あら井」という酒場に入り、日本酒を飲んだ。こーじさんが「地元の人を喜ばせたい」と言っている言葉を、しみじみ聞く。僕にはそんな気持ちがまったくないのだと語ると、「ほんとに、人として何かが欠落してる」と知人が言う。こーじさんはもう少しすると一旦地元に帰るそうだが、狩猟をしたり米づくりしたりするつもりらしく、それを言葉にしてくれたらいいのになと思う。そして、しばらく飲んだところで、僕がこーじさんに会いに行って言葉にすればいいのか、と気づく。

 21時過ぎに店を出て、千駄木まで帰ってくる。アサヒスーパードライをたんまり買い込んで、ついにナンバーガールの再結成ライブを観る。おとといWOWOWで放送されたものを、最高画質で録画しておいたものの、どのタイミングで観ればいいのか決めかねていた。ほろ酔い加減になった今日、思い切って再生ボタンを押す。