3月27日

 7時過ぎに起きて、コーヒーを淹れる。8時50分にアパートを出て、与野本町へ。昨日や一昨日より早い時間帯なので、多少混雑しているのではと気が重かったが、今日も座れるほど。9時45分に劇場にたどり着き、ファミリーマートで買ってきたハムサンドを頬張り、オーディションを見届ける。終了後、その場に残った何人かで、泡盛で乾杯。請福と残波。2時間ほどその場で過ごす。夕方から飲み屋に行くようだったけれど、今日はもうこれ以上話せる言葉はない気がして、途中でそっと抜ける。

 帰り際、駅前のスーパーをのぞく。またパスタとそばを一袋ずつ買ってしまう。王子から駒込に出て、「青いカバ」をのぞく。棚を眺めていると、聞きおぼえのある声がする。HONの雑誌の担当編集者・Tさんだ。Tさんに挨拶して、そして、店主のOさんにも「明日からよろしくお願いします」とご挨拶。20分ほど歩いてアパートに戻る。知人もほどなくして帰ってくる。夜は鳥野菜みそ鍋を作る。今シーズンはこれで食べ納めだろうか。

 鍋をつつきながら、最初のうちはバラエティ番組を観ていた。でも、どうしても散漫に感じる。前はあれほど魅力的だったのに。これは一体どうしたことだろう。もう一台のブルーレイレコーダーを記録して、毎週自動的に録画され続けているドキュメンタリー枠のラインナップを見ても、心惹かれるものが見当たらなかった。こう、切実なものが観たいのだと思って、舞台上で披露されている漫才の動画や、ライブ動画をいくつか観る。9年前に何度も聴いた曲でも、今はもうあまり響かなくなっている曲があると気づく。その一方で、踊ってばかりの国の「東京」は、2011年以降のことを歌っている曲だけど、今のこの状況にも直接的に言い当てているように感じる。

 呼吸ができなくなって死ぬのは苦しいだろうなと、ふいに想像してつぶやく。だから、できれば溺死は避けたいところだ。火事で死ぬのも苦しいだろう。最近になってようやく、ホテルに宿泊するとき、扉に貼り出されてある避難経路を目にして、「もしも火事が起きたら」と想像するようになった。だからといって、避難経路を念入りに確認するわけでもないけれど、一瞬だけ頭を過ぎる。9・11の映像を思い出す。高層階から飛ぶ状況に追い込まれるのはしんどいことだ。寿命で健やかに死ぬ以外であれば、せめて事故死か、銃で撃たれて殺される方向でお願いしたい、刺されるのは痛そうだ。そんなふうにつらつらしゃべっているあいだ、知人がずっと嫌な顔をしている。