4月24日

 8時頃に目を覚ます。内臓からむわっとした感じが漂っている。しばらく休肝日を作っておらず、ぱたんと眠りにつくまで飲んでいるから、疲れが溜まっているのだろう。コーヒーを淹れ、たまごかけごはんを食す。こないだ神保町を通りかかったとき、「伯剌西爾」で神田ブレンドの豆を買っておいたのだが、淹れてみると部屋が「伯剌西爾」の香りに包まれる。それだけで少し外出したような気持ちになってしまう。

 9時になって起きてきた知人が、ケータイを眺めながら、ネトウヨってどういうつもりなんやろ、とつぶやく。だってもう、擁護のしようがなくない?と。なんやろうね、一時期の阪神ファンに近いんじゃないのと口をついて出てしまう。それは自分自身のことでもある。1982年生まれということもあり、物心つく前にタイガースの優勝を目にして、気づけば阪神ファンになっていた。その時期の阪神は低迷していたけれど、ひとりで市民球場に行き、がらがらのレフトスタンドでひとりメガホンを振り回していた。あれはきっと、心のどこかで、こんなに負けがこんでも俺は応援し続けるのだと思っていたのだろう。

 琉球新報に目を通す。今日は「まちぐゎーひと巡り」が掲載されるはずだった日だが、紙面がコロナウィルスに関する特別編成となり、休載である。予定としては、先日従業員から感染者が出たことを受け、しばらく休場したのち、営業を再開した公設市場の組合長であるAさんに話を伺うつもりでいた。しかし、そうして営業を再開していた市場も、今日からまた休業中である。灘のnさんの姿が思い浮かんだ。昨日、高尾山のケーブルカーが、都からの要請を受けて運休することになったと報じられたときに、摩耶山の上で出くわしたnさんのことを思い出していた。

 午前中、Amazonで注文したワイヤレスのイヤホンが届く。今年の1月下旬、今では考えられないようなめまぐるしさで移動を繰り返していたとき、関西国際空港でなくしてしまったイヤホンを、もう一度Amazonで注文したもの。昨日のうちにクロネコヤマトからLINEが届き、「送り状番号の照会と日時変更ができます」とあったので、今日の午前着に指定しておいた。

 その際、「非対面でのお受け取りをご希望される場合は以下の方法にて」とあったことを思い出して、インターホンが鳴ったとき、「置いておいてもらうことってできますか?」と告げた。え、あ、はい、と会話は途切れた。ほどなくして再びインターホンが鳴り、あの、この、オートロックの外側で大丈夫ですか、地面に直接置いてしまって大丈夫ですかと確認される。配達員のことを汚らわしいと思っているかのように受け取られないかと、余計な不安をおぼえてしまう。

 昼はセブンイレブンレトルトカレー。いつものようにメークインを1個チンして、トッピングする。午後は福澤諭吉の『学問のすすめ』を読んだ。文語なので読むのに時間がかかり、やたらとマリオカートをやってしまう。ついでにSNSを眺めると、ファーストキャビンが破産手続き開始の申し立てをおこなったと報じられている。じゃらんで宿を探すとき、値段設定を「〜5000円」で検索するのだが、よくその名前は目にしていた。タイムラインを辿ってゆくと、岡山県知事が県境で検温を始めるとして、「来たことを後悔するようになればいい」と発言したとある。どうして余計なことを言うのだろう。もちろん抑止効果を狙ってなのだろうが、検温は検温として粛々とやれば済む話だ。

 先日、広島県知事も「県職員に支給された10万円の給付金を県のコロナ対策に活用したい」と発言し、すぐに撤回していたばかりだ。この県知事の発言は、少し前、ひろしまトリエンナーレが空中分解となったときにも取り沙汰された。県が芸術祭の内容に干渉しようとして、「広島は愛知と違う。広島は芸術祭と観光祭のハイブリッドだ。(新体制で)一流のアーティストが来ないのなら仕方がない」と発言し、問題となっていた。芸術に無理解な高齢の政治家ではなく、1965年生まれの県知事がそんな発言をするのかと驚くとともに、その経歴をウィキペディアで確認し、「スタンフォード大学時代の同窓生に岡山県知事の伊原木隆太がいる」との記述を見て、おいおい山陽は大丈夫かと思っていたばかりだ。

 今夜もにわか雨になると報じられているが、空は青く晴れ渡っている。近所の八百屋が混む前に、頃合いを見て買い物に出る。土日に買い物しなくて住むようにと、なんとなく献立を考えながら買い物しておく。知人が「焼き肉がしたい」と言っていたので、向かいの肉屋にも足を運んだ。この肉屋は狭く、店内が密な状況になりがちだったが、軒先の地面に「お声がけするまで、こちらでお待ちください」という貼り紙が出ている。そこに立って待っていると、あとからやってきた60代くらいの男性が何も気にせず入ろうとして、店員に手で制止されている。その客は、待っているぼくのすぐ後ろに立つ。ちけえなあと思いながら悶々としていると、その客はまだ呼ばれてもいないのに店内に入り、物色を始める。なんだかここにいたくないなと思って、「焼き肉はしばらく無理で」と知人にLINEを送っておく。

 17時、ようやく『学問のすすめ』を読み終えたところで、おやつにドーナツを食べる。昔だったら17時からもう飲み始めていたところだが、なんとなく、最近は6個入り198円のドーナツや、4個入り158円のワッフルを買っておいて、コーヒーと一緒に食べて、飲み始める時間を遅らせている。17時に飲み始めると、あっという間に酔っ払って眠ってしまうというのもあるけれど。『学問のすすめ』に続けて、福澤諭吉『丁丑公論 痩我慢の説』を読み始める。これは大学院に入った年にゼミで読んだ本だ。あのときは言われるがままに読んでいて、教授がなんと話してくれたのかは記憶から遠ざかってしまっている。どんな話が出たのか、記録を残しておけばよかった。

 今日はお酒を控えるので、ツマミではなく、麻婆豆腐丼を作って平らげる。窓の外から唸るような風の音が聴こえてくる。炭酸水にポッカレモン100を垂らして飲みながら、『丁丑公論 痩我慢の説』を読み終える。21時になると、QJWebで「マームとジプシー『cocoon』を再訪する」が公開される。昨日の21時に、連載第1回の前編が、今日は後編が公開された。初日は7月4日に予定されており、公演が行えるかどうかはまだ予断を許さないところがある。演劇である限り、7月4日に人が集まれる状況になればよいわけではなく、それより早い段階から皆で集まって、稽古を重ねる必要がある。しかし、この先どんなことになろうとも、それを書き残しておく。

qjweb.jp

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