8月31日

 8時に目を覚ます。『グッとラック!』には橋下徹がゲスト出演している。ここ数日は引っ張りだこだけれども、そうして出演を依頼することがプレゼンスを高めるということに、テレビ局はどこまで意識的なのだろう。チャンネルを変えると、『スッキリ!!』には岸田文雄が出演中だ。投げかけられる質問に対する答えの歯切れの悪さが目立つ、しっかりしてくれよ。それなりにキャリアがあり、総裁選の注目候補として名前の挙がる政治家が、自分の言葉を持ち得ないのか。そんなことだから、それらしく断定的な口調で語ってみせる人たちが勢力を伸ばしてしまうのに(こう書いていると、広島出身の人間として岸田文雄を応援しているみたいになるけど、そんなことはまったくない)。

 各テレビ局が、週末の政治家たちの動向を取材しており、VTRが繰り返し流れる。どの現場も密だ(それを最初に感じたのは金曜日、自民党本部かどこかで稲田朋美が記者達に囲まれている映像は本当に密でゾッとした。何がゾッとするって、二階なり麻生なり菅なり、あの状況で鍵を握る人物にあそこまで密な状況が生まれるのならともかく、別にキーパーソンでもない政治家にあそこまで群がるメディアの姿は、何の判断力も働いていないように感じられたから)。もちろん密な状況を生み出しているのは取材する側であり、その責任は政治家にないにせよ、社会の舵取りをしようという人間が、目の前にある現場に対して「ちょっと、この状況は危険だ、聞こえるように話すからもう少し距離を取って」と取り仕切ることぐらいできないのか。たぶんきっと、コロナに罹患しうる世界というのは、自分たちとは別次元にあるのだと思っているのだろう。だとしても、ポーズとして「ちょっと、密だよ」と言ってみせることぐらいできないのか。自分の言動がメディアを通じて世間に晒されており、それがどういう響きを持つかということなんて、さほど気にかけていないのだろう。そういうところに神経を払っている数少ない政治家が小池百合子だということに、げんなりしてしまう。

 明日からしばらく雨だというので、今日のうちにと洗濯機を2度まわす。あれこれ家事をやっているうちに昼過ぎで、考えるのが億劫になり、パスタを200グラム茹で、いつだか買いだめしておいた明太子ソースと和えて平らげる。こうやっていい加減に済ませると、まったく食べた気がしないから不思議だ。午後は企画「R」の原稿に何箇所か赤字を入れて、メールで送信する。昨日の花火を経て、最後に少しだけ言葉を書き足す。少し前に『夏物語』を読み返した影響で、観覧車に乗りたくなり、ラクーアに行こうかとも考えたけれど、雨が降るかもしれないのでやめておく。

 18時半、企画「R」が更新される。今回は両国から浅草(そして三ノ輪まで)歩きながら考えたこと。

mum-on-the-street.com

 19時半に帰ってきた知人に塩豚ともやしの炒め物を作ってもらい、炭酸水で乾杯。ここ数日、資料を読んでいても頭がぼんやりして、毎日のように酒を飲み過ぎているせいだろうから、今日は久しぶりに休肝日にする。21時過ぎ、『アンナチュラル』を第6話から観始めて、最終話まで一気に観る。「イノセントをどう描くのか引っかかる」と、特に第5話で強く感じていたけれど、その後の物語できっちり描かれている。端から端まで「きっちり」していて唸らされる。唸らされる、という感じ。ただ、これはまったく個人的な好みに過ぎないけれど、唸るためにドラマを観ているわけではないなとも思う。たとえば中堂の恋人がテネシー州出身だという設定は、最終話の展開のために設けられた設定であり、それ以外の場面にその要素が漂うことはなかった(見落としているだけかもしれないが)。その余剰な部分があって欲しいなと思うけれど、それは塩ラーメン専門店に「このあっさりして上品な味もいいけれど、どこかこってりした部分も欲しい」というようなものだと、自分でもわかっている。これは『アンナチュラル』がつまらなかったということではなく、むしろ面白く観たけれど、自分の好みというのが浮かび上がってくる。