10月4日

 8時に目を覚ます。コーヒーを少しだけ淹れて、茹で玉子を2個。午前中は『E』誌の原稿を書く。知人はPCR検査を受けるらしく、朝から出かけてゆく。公演に携わる人は事前に検査を受けておくのがスタンダードになっているのだろう。11時にアパートを出て、千代田線と中央線を乗り継ぎ、今日も武蔵小金井へ。電車はがらがらだったので、久しぶりに座る。車内では『軟骨の精神』を読み返す。11時50分頃に駅に到着し、線路沿いを歩いて「ケーニッヒ」を目指す。ツアーのグループLINEに、武蔵小金井駅周辺でテイクアウトできるグルメ情報が流れていて、そのうちの一軒に「ケーニッヒ」が挙げられていたのだ。7分ほど歩くと、お店と人の群れが見えてくる。店頭でソーセージを焼きながら販売している。ホットドッグは店内で注文するようだ。人混みを見ると気が引けたけれど、他に食べるものも思い浮かばず、ホットドッグを注文して、少し離れた場所で完成を待つ。

 20分ほど経って、ようやく自分の番号が呼ばれる。駅までの道はほとんど人が歩いていないので、ホットドッグを頬張りながら引き返す。12時42分に劇場にたどり着き、受付に行くと、制作のHさんから「ごめんね橋本さん、ちょっと待ってもらっていいですか?」と言われたので、「成城石井」でアサヒスーパードライを買い、劇場にやってくるお客さんの姿を眺めながら飲み干す。12時55分に受付でチケットをもらって、ホールへ。隣はIさんだった。10分近く押して、今年最後の『てんとてん』が始まる。昨日や一昨日に比べて、言葉がひとつひとつ発語されているように感じる。たぶん上演時間は少し延びたのではないかと思う。でも、演出や作品世界を崩さない範囲で、言葉が言葉としてしっかりと発語されているように感じられて、東京公演の中ではいちばん印象深い上演だった。終演後はすぐに外に出て、劇場を眺めながら、ビールをもう1本飲んだ。