10月5日

 7時過ぎに目を覚まし、コーヒーを淹れる。9時近くになって起きてきた知人は、知人はしょんぼりした様子で出かけようとする。どうしたのかと尋ねると、「天気悪いけ」とか細い声で言う。午前中は企画「R」に関連した対談のテキストに赤入れをする。ツイッターを眺めていると、台風の話を見かけた。沖縄に暮らす人たちがツイートしたりリツイートしたりしているのを、どこか遠くのことのように眺めていたけれど、そういえば沖縄に行くのだったと思い出す。進路を確認すると、9日9時に奄美大島の東の海上を通過し、そこから少し東にカーブして、10日9時には種子島の東の海上を通過すると予測が出ていた。ぼくは7日に沖縄に向かう予定だが、そこには特に影響はなさそうだ。ただし、問題は帰りだ。ぼくが手配しているのは、11日の朝に神戸に向かう便である。

 お昼近くになって、近所の八百屋に出かける。ニラがなかったので、何か緑のものを入れたいとニンニクの芽を買ってきて、もやしとニンニクの芽と豚バラ肉入りの焼きそばを作る。昼下がり、風呂に湯を張り、入浴しながら読書。日が暮れた頃になって再び天気予報を確認すると、昼に確認したより少し先、10日15時の進路予想まで出ている。種子島の東の海上から台風は急カーブを描き、室戸岬の南方に進んでいる。カーブというか、野球ゲームのシュートのような曲がり方だ。この感じだと、11日午前の神戸空港はすべての発着便が欠航になるのではないか。しかし、12日に取材の予定があるから、できれば11日には神戸に着いておきたいところだ。予定を1日早めて、10日のうちに神戸に向かう便に変更するか。しかし、僕は変更不可の航空券を予約しているから、キャンセルして予約し直すことになる。それに、もしかしたら台風が予想よりも遅く進んだとすれば、10日に那覇空港が暴風圏内にかかってしまう可能性もある。台風の影響で11日の便が欠航になれば、きっと別の便に振り替えてもらえるだろうから、直前まで様子を見るしかないだろう。いざとなれば、福岡空港行きに変更してもらって、福岡から新幹線で神戸に向かうことだってできる。

 18時15分、仕事帰りの知人と「海上海」の前で待ち合わせ。1階はわりとお客さんで埋まっていたので、テイクアウトで何品か注文しておき、バー「H」。先客がひとりいたけれど、ぼくたちが入ったタイミングで会計をしているところだったので、貸し切りだ。カウンターの端っこに座り、「文壇酒徒番付」を眺めながら、ハイボールを2杯飲んだ。「海上海」で料理を受け取り、不忍通りを歩く。残っているのは病院と接骨院ばかりだと知人が言う。そんなことはないはずなのに、そう言われると、病院と接骨院ばかりに目が行く。久しぶりでワイン専門店に立ち寄り、小さなシャンパンと、知人がラベルを気に入った赤ワイン、それに市田柿ミルフィーユを買う。この干し柿のバターサンドは好物らしく、「ケーキが手に入った」と知人は喜んでいる。