10月6日

 7時に目を覚ます。洗い物をして、コーヒーを淹れ、ゴミを出す。洗濯物を干し終えたところで、布団に戻る。芽を覚ました知人に「ちょっとお邪魔させていただきますね」と言うと、「構わんよ」と返ってくる。今日は知人の誕生日だ。誕生日というのはその人を中心に世界がまわる日だとぼくは思っているので、朝に流す音楽も関ジャニ♾を選んで再生すると、最初のイントロが流れたところで「やめえ」と窘められる。「いつも通りにせえよ」と。たしかに、ぼくが自分の誕生日に朝からZAZEN BOYSを流されたら、「安直なことすんな」と言いたくなるだろう。

 午前中は荷造りをしながら、K社のムックに掲載される対談を構成する。今日は職場に人が集まる日らしく、知人は蜜を避けて自宅で仕事をするという。豚バラ肉とニンニクの芽がありますので、焼きそばでいいですかとご機嫌を伺うと、「いや、ニンニクの芽はおかしいやろ」と言われたので、ニラともやしを買ってきて焼きそばを作る。いつもは適当に肉を炒めるけれど、知人を見習って肉に塩と料理酒を振っておいてから炒め始める。22時台に昇格した『勇者ああああ』初回放送を観ながら、出来上がった焼きそばを食べる。肉の焼き加減に気を遣ったものの、「ニラうまい」との言葉しかもらえなかった。今日はやれる作業がほとんどないらしく、食事を終えると知人は昼寝をしていた。

 昼過ぎに構成を終えた原稿を送信し、10月の予定をあれこれ調整する。16時、久しぶりに自転車を外に出し、出かける。チェーンが回転する音がやかましくなっている。火曜日は近所の肉屋が定休日なので、昨日のうちに焼肉用の肉をひとしきり買い込んであったのだけれども、そこはホルモンを扱っていない肉屋だったので、ホルモンだけ足りていなかった。こてっちゃんみたいなホルモンじゃなくて、白くてふわふわのホルモンが食べたいと知人が言うので、肉屋を探してまわったものの、どこでも見つけられなかった。知人はチャンジャも食べたがっていたのだが、よみせどおりにある「母オンマの手作り」という店は営業しておらず、スーパーで甘くなさそうなキムチと、それにこてっちゃん的なホルモンを買って帰途につく。

 17時から始まった知人のオンラインミーティングが1時間ほどで終わったところで、キッチン焼き肉を始める。冷蔵庫にはいろんなビールをひとしきり揃えておいたので、知人にどれが飲みたいか選んでもらって、琥珀エビスで乾杯。牛タン、ロース、カルビ、ハラミ、それに豚トロ。いつもは1種類だけを肉屋で買ってきて、あとはスーパーの焼肉セットで腹を満たしているけれど、今日は誕生日なのですべて肉屋で買ったものだ。どれを食べてもウマイ。『相席食堂』の、M-1ファイナリストによる街ブラロケ対決をAmazonプライムビデオで再生しながら、次々平らげてゆく。少し満腹になりかけたところで、肉を焼くのを中断して、わかめスープを作る。知人は折りたたみ式の椅子を取り出してきて、コンロの前に置いて座ると、嬉しそうな顔をする。「ここで焼き肉をするときに、この椅子があったらええなと思いよったんよね」。椅子に座ってビールを飲みながら、知人はその言葉を二度繰り返した。

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