10月22日

 8時頃に目を覚ますと、羽鳥慎一の『モーニングショー』がテレビに映し出されている。公園でタバコの煙が問題になっていると報じられていて、よく見るとそれは仙台の勾当台公園だ。しばらく仙台に行っていなくて、友人の店にも行っていないけれど、元気にしているだろうか。この公園の近くには合同庁舎があり、健康増進法が改正されたことで敷地内が全面禁煙になったことで、そこで働く人たちが公園でタバコを吸うようになったのだという。公園は禁煙というわけではなく、そこで昼休みにタバコを吸う人たちが増えたのだ、と。それはそうなるだろう。ぼくは知らない人が吸うタバコの匂いは好きではないけれど、それとは別問題として、タバコをめぐる規制の推移はバカらしいことが多過ぎる。

 昼前に「上原パーラー」でネパールカレーを買いに出る。その途中に立ち寄ったお店で立ち話をする。これからGoTo商店街キャンペーンが始まるにあたって、何をやるかと話し合っているときに、「市場の歴史を伝えられるように」という意見に対して、「それがうちの売り上げに繋がるのか」と否定的な意見が出たのだという。そうした否定的な意見を受けて、「やっぱり、そういうことは、外の人にやってもらったほうがいいのかなと思った」と感じたのだ、と。そのことにうまく言葉を返すことができなかった。ぼくはいろんなお店に取材させてもらっていて、なかには「記事を見てお客さんがきてくれた」というケースもあるけれど、それは取材の副産物であって、歴史を語ること自体が直接的な利益につながるわけではない。もごもごしたことしか言えないまま、ホテルに引き返す。

 昼過ぎには雨が降り始めていた。それも結構な雨である。界隈を歩くと、アーケードのあちこちで雨漏りしている。15時からRK新報の取材。たっぷり話を聞かせていただく。1時間ほどで取材を終えて、ホテルに荷物を置き、ゆいレール那覇空港へ。お昼ごろに神戸のUさんからダイレクトメッセージが届き、もし那覇にいるのであればちらっとお会いできませんかと誘われていたのだ。空港でUさんと落ち合って、空港内のカフェテリアでビールの中ジョッキをご馳走になりながら、少し話す。那覇は観光客向けのお店が多いという違いがあるにせよ、GoTo商店街キャンペーンに関連して、対照的な話を聞く。

 30分ほどでUさんと別れ、ゆいレールで県庁前まで引き返す。明日はRK新報に記事が掲載される日だけれども、そのお店以外にも市場界隈に馴染みのお店はあるので、そのお店をひとしきり巡っておくことにする。「末廣ブルース」で豚ハツと生牡蠣のタルタル(ハーフサイズ)とレモンサワーを。「パーラー小やじ」で定義山三角油揚げ焼きと墨廼江を。「足立屋」ではまぐりとホッピーを飲んだのち、安里まで歩いて「東大」の扉を開ける。今日は待ち時間なしで焼きてびちを作ってもらえるようだったので、せっかくだからと注文する。すっかり満腹になって330号線沿いを歩いていると、A.Iさんからメッセージが届く。最後にお会いしたのは今年の1月下旬のことで、そのときのことは『ユリイカ』に書いた。あれから何度か連絡をとって、そのたびに「いつかお会いしましょうね」と言ったまま、今年も終わりが見えてきてしまっている。