10月17日

 取材3日目。今日は本格的に寒くなりそうなので、セーターを引っ張り出す。12時にアパートを出てみるとそれでも寒く感じる。今、密着取材というのは難しく、お店を離れてどこかで待機する時間が生じる。今日は土曜日だから、天気が悪いとはいえ喫茶店も賑わうだろう。大勢の人がマスクを外して会話をする空間に滞在するのも不安だから、外で過ごすことを選ぶだろう。だとすれば、この気温はつらそうだと引き返し、マフラーを巻いて出かける。13時にはお店について、しばらく滞在したのち、14時に「CITY COUNTRY CITY」でパスタを平らげる。日が暮れたところで取材を終えて、お礼を言って外に出る。良い取材ができた――と、余韻に浸るように街を歩く。昨日までは北沢タウンホールを抜けてまっすぐ駅に向かっていたけれど、一番街に足を向けてみると、「下北線路街」という場所にたどり着く。小田急線が地下化したことで、線路の跡地が再開発されたらしく、公園のようになっている。そこには人がたむろしていて、どうやら唐組の公演があるらしかった。それも今日が初日だという。今回は風通しのよい初代テントで上演するため、ほとんど野外公演になるので、観客は皆カッパを着て開場を待っている。こんなに冷たい雨が降っているなか、演劇を観ようとこんなにもたくさんの人が集まっていることに半ば感動してしまう。ぼくもその場にたたずんで、観客がテント内に誘導され、上演が始まる様子を外から眺めた。