10月25日

 6時に目を覚ます。昨日はずっと曇り空で、支社長からも「晴れてるときの海はこんなもんじゃないんです」と言われていたけれど、今日は朝からよく晴れている。あまり時間はないけれど、6時半、少しだけジョギングに出ることにする。昨日立ち寄った平良港に出て、すぐに引き返す。朝まで飲んでいた人たちがゆらゆら歩く姿を、あちこちで見かけた。7時にはホテルに引き返し、シャワーを浴びて身支度をして、7時半にホテルのロビーでTさんと待ち合わせ。8時頃に空港にたどり着くと、長蛇の列ができている。預け荷物のあるぼくは荷物の列に、Tさんは昨晩の宿代などを航空会社に清算してもらうための列にそれぞれ並ぶ。

 列はなかなか進まなかった。30分が経過しても、まだカウンターはしばらく先だ。液晶パネルに目をやると、ぼくが乗るはずの便は出発の20分前を過ぎたこともあり、「保安検査場通過締切」と表示されている。後ろに並んでいる家族連れがそれを見て、「え、締切って出てるけど」と不安そうに話し合っているけれど、ぼくは今日もどこか泰然とした気持ちでいることに気づく。Tさんが諸々手配してくれているのだし、絶対に大丈夫なはずだと安心してしまっている。もしも一人旅でここを訪れていたら、気が気ではなかっただろう。それからしばらく経って、ようやく荷物を預け、保安検査場を通過し、那覇行きの飛行機に乗り込んだ。

 最短の乗り継ぎ便はもう手配できなかったそうで、那覇で2時間ほどトランジットの時間が生じることになった。ずっと出発ロビーにいなくても、空港の外にも出ることができるのだとTさんが教えてくれる。県庁前で今日まで開催されているはずの「盛り上げよう!今こそ我らの県産品」をテーマにした産業まつりを覗きにいこうかとも思ったけれど、さすがにバタバタになりそうだ。移動続きで少しくたびれていることもあって、空港の片隅にあるタリーズでコーヒーを飲みながら、企画「R」の原稿に赤字を入れて過ごす。羽田行きの飛行機に乗り継いで、空港でTさんと別れ、アパートにたどり着く頃にはすっかり日が傾いている。少し遅れて帰ってきた知人は、芸術の秋(つまり繁忙期)にくたびれているようで、すぐに眠ってしまう。今日の現場は池袋だったということで、知人に「古書往来座」で『競輪必勝法』を買ってもらっていた。『en-taxi』の付録になっていた文庫本だ。それを再読しながら、ビールと泡盛を飲んだ。