1月10日

 9時過ぎ、ジョギングに出る。いつもなら芸人のラジオを聴きながら走るところだけど、今日は原稿の書き出しに悩んでいることもあり、音楽を聴きながら走る。日記に書きそびれていたけれど、根津神社の鳥居の向かいにあるかりんとうの店が空き物件になっていた(お正月、店の入り口をふさぐようにベビーカステラの屋台が出ていたから「おや?」とは気になっていた)。日曜日だからか、不忍通りは車もあまり走っていなくて静かだ。不忍池を見て引き返し、シャワーを浴びる。テレビで『サンデージャポン』が始まると、デヴィ夫人が出ていて、この状況下で年越しパーティーを開催したことを釈明している。感染症対策は万全だったし、わたしのパーティーに出席する人たちは意識が高いから感染するはずもなく、実際10日経っても誰も感染していない、それよりも感染を拡大させているのは若者だ、と興奮気味に語る。その発言を受けた太田光が「今は冷静に」「分断を避けなければ」「これが最後の山だと思えば」とまとめていたことに、なんだかがっかりする。分断を避けなければならないのはもちろんだけど、批判されるべき発言はきちんと批判するのが筋だろう。言い返す価値もない、といった表情で黙っていたゆきぽよの姿が印象に残る。

 昼、知人にトマト缶と鯖缶のパスタを作ってもらう。最近はずっとホールトマトの缶を使っていたのだけれど、トマトの端っこの硬いところが少し苦手なので、今日はカットトマトの缶を買っておいたのだけれども、「これだと味が変わる」と知人が言う。仕上がったパスタは、たしかにいつもよりトマトの味が薄く感じられる。午後は機内誌『C』の原稿を書く。夕方までかけて6割5分くらいまで書き進められたので、いちど寝かせておくことにして、書評検討本を読む。書店の棚では同じ棚に配置されそうな2冊があり、そのうちのどちらを書評しようかとずっと悩んでいる。片方はポップで、視点も面白いのだけれども、何行かひっかかるところがある。もう片方は滋味深く、ただし渋くもあり、書評をきっかけに手に取った人たちがどこまでそれを味わえるだろうかと思い悩む。答えが出ないまま晩酌をはじめて、ビールを飲みながら何度も読み比べる。