3月9日

 7時に起きる。8時半に散策に出て、「上原パーラー」に立ち寄るも、じゅーしーおにぎりはまだ完成前だった。それならばと「ポークたまごおにぎり本店」に立ち寄り、チキナーのやつを注文する。観光客が大勢いた時期は朝から行列が出来ていたけど、今ではすぐに買える。注文してから握ってくれて、お米も具材もたしかに美味しい。ただ、450円という値段を考えると、朝ごはんとしてはなかなかスペシャルだ。その値段に見合った味だと思うけれど、じゃあ自分が毎日の朝ごはんに450円払っているのかと言われるとそうではなく、いつか連載で取材させてもらいたいと思いながらも、観光客ではなく地元の方が読む媒体でどんなふうに記事にできるだろうかと考える。

 部屋に戻り、荷物をまとめながら、次に沖縄ん訪れる日程をぼんやり練る。次回は水納島にも再訪したいなと思い、前に泊まった民宿に電話をかけてみる。もしかしたら「遊びにきてくれるな」という空気かもと思ったので、前に何度か宿泊した者なんですが、4月は営業されてますかと確認したところ、ええ、今なら4月はいつでも空いてますよとの返事でホッとする。島を再訪するからには、活字で得られる知識は(そんなに多くないだろうけど)触れられるだけ触れておこうと、10時にはホテルをチェックアウトする。スーツケースがパンパンなので,スライド式のドアのタクシーがいいな(それならトランクにスーツケースを入れなくて済む)と思いながら、国際通りでタクシーを待つ。こんなときに限って、そのタイプのタクシーは通りかからず、普通のタイプのタクシーが徐行しながら通り過ぎてゆく。10分ほど経ったところで、そうだ、県立図書館はバスターミナルの上にあるのだから、バスがあるじゃないかと気づき、すぐ近くのバス停に移動する。バスはバスでやってこなかった。そこに、さっきまで待っていたタイプのタクシーが通りかかったものの、「バスなら200円ちょっとで済む」と気づいてしまったあとでは停める気にならず、見送る。その後も立て続けにタクシーがやってきたけれど、どんどん意固地になり、また10分くらい待って、ようやくバスに乗った。図書館は休館日だった。

 ゆいレールで早めに空港に向かう。搭乗時間までのあいだ、空港の外でN.Mさんに電話をかける。スピーカー通話に切り替え、ICレコーダーをまわしながら電話取材。なんとか今回の滞在のミッションのひとつを終えられてホッとする。保安検査場を通過し、沖縄そばをかき込んで、ジェットスター304便に乗り込んだ。後列の若者がマスクをあごにズラして会話していて若干不安になったものの、飛行機が離陸すると静かになる。いつも不思議に思うけど、搭乗前に賑やかだった人たちも、離陸すると静かになるのはなぜだろう(酒盛りをしている人たちは別)。

 15時前に成田空港に着陸し、アクセス特急都営線を乗り継ぎ、16時50分に神保町に出る。なにか書評によさそうな本はないかと、スーツケースを引きずり歩く。何冊か本を買ったところで力尽き、タクシーで帰宅する。知人は在宅で仕事をしているようなので、インターホンを押し、スーツケースを運ぶのを手伝ってもらう。すぐに洗濯機をまわし、横になって休み、洗濯が終わるとコインランドリーまで自転車を走らせる。洗濯が追いついていないのもあるけれど、花粉がつくことを考えただけでも面倒になるので、乾燥機にかける。乾くまでのあいだに「海上海」に行き、よだれ鶏イカと青紫蘇のうまいやつ、それに黒酢酢豚をテイクアウト。乾燥が終わった洗濯物を抱えて自転車を走らせていると、交差点で別の自転車とすれ違うときによろめいてしまい、よだれ鶏のタレがこぼれ出してしまい、不機嫌になりつつ帰途につく。