4月8日

 5時過ぎに目を覚ます。つけっぱなしのテレビでは、『Oha!4』という早朝の番組をやっている。うつらうつらと眺めていると、その番組が終わる直前に、出演者が「繋がり、大事です!」と駆け込むように言う。むかっときて目が覚める。何をどういうつもりでそんなことを朝から言っているのだろう。誰とも繋がれず、眠れずに朝まで過ごしてしまった人がそんなことを浴びたらどう思うんだろう。「繋がり、大事です!」と無神経に言えるのはどういうことだろう――と、むかむかしながらその言葉をメモに残しておく。

 たまごかけごはんを平らげて、コーヒーを淹れる。洗濯物がずいぶん溜まっている。今日は知人も在宅で仕事をするようだ。午前中は構成仕事を進める。お昼は焼きそばを作って食べた。豚こま、キャベツ、もやし入り。「ニラはある」と知人に言われていたのだけれども、かなりしなしなになっていて先っちょは枯れていて、いつ頃買ったのかと問うと3日くらい前だというので、ニラは入れなかった。久しぶりに作ったせいか、なんだかぼんやりした味に仕上がってしまい、残念な気持ちで午後の仕事に取り掛かる。構成を終えた原稿をメールで送信すると、またテープ起こしに取り掛かる。

 17時にアパートを出て、バー「H」。先にひとりお客さんがいて、カクテルを作ってもらっているところだったので、端っこに座ってぼんやり待つ。出来上がったカクテルをひとくち飲むと、「すきっ腹に沁みるね」とお客さんが言う。お腹が減ってるときに飲むお酒っておいしいですよねとHさんは言いながら、ぼくのハイボールを作ってくれる。2杯目を作ってもらったところで、あの、ちょっとご相談したいことがあるんですけどと声を掛ける。話しかけようと思ってしっかり目を合わせてみると、少しだけHさんの髪が長くなっていることに気づく。内容を話そうとしたところで電話が鳴り、話を中断する。取材かなにかだろうか、営業前にお邪魔する算段を電話でしている。

 そういう内容なら営業前にかければいいのになと思いつつも、5分ほど待って、改めてお願い事。ある雑誌から「バーのウィスキー」をテーマに原稿依頼があり、ちょうど沖縄に出かけるところだったので沖縄のどこかで飲んだハイボールについて書こうかと考えたものの、旅先でちらりと出会っただけのお店のことを書くのは難しいなと思って、やはり「H」さんのことを書こうと決めていた。というよりも、もう原稿は書いてあるのだけれども、あらためて、Hさんに「書いてもよいでしょうか」と相談する。「ああ、もちろんもちろん、嬉しいです」と言ってもらえてホッとする。雑誌名を伝えると、「意外なところから」と言いかけて、その言い方だと失礼になってしまうと思ったのか、「意外っていうわけじゃないですけど」とHさんが言い直すので、いやいや僕も意外でしたと笑う。

 2杯目を飲んだところで店を出て、「海上海」でよだれ鶏と、イカと紫蘇ときのこのうまいやつをテイクアウト。まだ17時半というのもあるけれど、店内には誰もお客さんがいなかった。19時まで仕事をして、知人と晩酌。お土産として持ち帰った泡盛――白百合や古酒の沖之光、それに1999年ものの残波を少しずつ飲んだ。白百合、瓶で買うのは初めてだったかもしれないけれど、度数が30度だということに初めて気づく。古酒ならともかく、泡盛は20度か25度であることが多い。「うりずん」で白百合を飲んでいると、2合くらいでそこそこ酔っ払ってしまうのはそのせいだったのかと、今更ながら気づく。