4月13日

 5時過ぎ、怖い夢で目を覚ます。怖いといっていいのか、友人が創作に苦しんでいる、その気分に触れる夢だった。昨日のシマチョウの脂が胃に残っているのか、もたれた感じがする。換気扇をまわしっぱなしにしておいたキッチンには、まだ焼肉の匂いが残っている。

 まだ企画がどう進展するかはわからないけれど、出版に向けて企画を打診した以上は、あらためて島に行かなければという気持ちが高まる。もちろんぼくが「ルポライター」だということは島の皆さんに伝わっていて(ルポライターという肩書きを名乗ったわけではないけれど、前に滞在したときに『市場界隈』をお渡ししていたので、その肩書きで認識されていた)、この島のことを書きたいと思っている旨は伝えていたけれど、近いうちに書くつもりだということを伝えて、承諾をいただく必要がある。それに、いくつか聞きそびれたこともある。5月に入ってしまうと沖縄に出かける余裕がないかもしれないので、もう、思い切って――と、こないだ泊まった宿に電話をかけ、日曜と月曜にもう一度泊まりにいきたいこととを伝える。ちょうど誰も予約が入ってないし、またゆっくり話しましょうと言ってもらい、すぐに飛行機とレンタカーの手配をする。

 気づけば14時、急いで支度をして部屋を出る。まずは千代田線で綾瀬に向かい、取材したら面白いかもとぼんやり考えていたお店に立ち寄る。立地からしても、お店の感じからしても、これまでの取材とは趣きが異なるものにはなるだろう。でも、「趣き」を求めて取材するのはどうなんだろうと思い悩みながら買い物をして、店をあとにする。近くには公園があり、ポールに貼り紙が出ている。そこには「1年前を思い出そう。」とあり、イラスト屋のイラストが添えられている。「今、私たちができることは?」「トコトンやりきろう!/●外出自粛/●マスク・手洗い・消毒・換気/●三密回避/●テレワーク/●昼夜を問わず/マスク飲食 黙食 個食 静美食」と書かれている。埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県と張り紙の最後に書かれている。なんだかやりきれない気持ちになる。

 千代田線で新御茶ノ水に出て、古書会館で資料をもらったのち、「東京堂書店」と「三省堂書店」をのぞく。なにか書評によさそうな本はないかと探す。S.Kさんの本が新刊台にあり、ビニールで覆われていて立ち読みできないようになっている。タイトルを検索すると、やはり始まったばかりの展覧会と同じタイトルだ。図録だろうかと思いながら購入し、半蔵門線で大手町に出て、16時35分には会議室にたどり着く。本の山を眺めても、これは是が非でも自分が書評をという本は見当たらず、さきほど買った「図録」(正式には図録ではなく、展覧会にあわせて刊行された作品集)だけ回す。ビニールにくるまれていただけあって、繊細な本だから、少しどぎまぎしながら時折行方を追っていると、本の山を積み上げていた委員の方がそれを倒し、「図録」が床に投げ出されているのが視界に入り、思わず席を立ちそうになる。回覧を終えて戻ってきた本は、角が少しよれている。