4月23日

 昼はひたすらテープ起こしと構成を進める。M&Gの公演を振り返る対談企画、作業が滞ってしまっている。16時に仕事を切り上げアパートを出る。いよいよ緊急事態宣言が出ることになりそうなので、その前に行っておかなければと、久しぶりに高円寺「C」へ。開店と同時に入り、ハートランドを注文してごくごく飲む。客席のあいだにアクリルパネルが設置されていた。ここ2、3日はめっきりお客さんが減りましたとKさんが言う。ビールをあっという間に飲み干して、冷や酒(白牡丹)を飲んでいると、ひとり、またひとりとお客さんがやってくる。最近は20時以降になると駅前で飲んでいる若者が大勢いる、という会話が聴こえてくる。「テレビなんかつけると、出歩いてる若者が『我慢しろって言われても、私たちの時間は今この瞬間しかないから』とかって言ってるけど――最近の若い連中は辛抱が足らんな」。そんなことを言っている男性は、マスクも外して大声で話している。日本酒をぐびぐび2杯飲んで、またきますとKさんに伝えてお店をあとにする。

 中央線で移動し、新宿3丁目「F」へと階段を下る。ここはマスクをしているお客さんが大半だ。ある記事について、Hさんから話を聞く。ある書き手が知り合いに連れられこのお店を訪れ、自身が取材しているテーマについて話を聞けないかと思っていたものの、その日は年の瀬ということもあってお店は混雑しており、話を聞けなかった――と書いていたのだという。我が身を振り返り、自分はそういう非礼をやってしまっていないだろうかとそわそわする。20時にお店を出て、新宿3丁目を歩く。20時以降も営業を続けると決めているお店もちらほらあって、驚いたことにそんな店の前に行列ができている。飲食店ならわからなくもないが、酒場に行列を作るということに驚く。よほど開店のいい立ち飲み屋ならともかく、何時間後に空くかもわからない席を待って、スーツ姿の人たちが並んでいる。中の様子を伺うと、何事もなかったかのように楽しげな時間が流れていた。

 今日は中野サンプラザでカネコアヤノのワンマンショーが開催されている日だった。本当なら去年の4月に開催されるはずだったものが、延期に延期を重ねて、1日2公演に振り分けることでようやく実現に漕ぎ着けたものだ。ぼくの記憶の中では、去年の公演のチケットを押さえていたつもりで、この日のライブを観るつもりでいたのだけれども、今月に入って過去の申し込み履歴を確認したところ、チケットをとった形跡はどこにも見当たらなかった。「どうにか見せてもらえませんか」と連絡するのはさすがに図々しく、今年の初夏のツアーがあるんだからいいじゃないかと自分に言い聞かせてきた。今日はどんなライブだったんだろう。昨日のライブのことを思い出す。途中で演奏された「自問自答」で、「脳内映像をビデオにダビングして 夜中に一人で酒飲みながら見よう」という箇所を、「脳内映像をブルーレイにダビングして 夜中に一人で赤ワインを飲みながら見よう」と歌っていたことを思い出し、コンビニで赤ワインのボトルとプラカップを買って、それを飲みながら歩いて帰途につく。