4月25日

 昼、知人の作るトマト缶とサバ缶のパスタを食べながらビールを飲む。赤ワインもグラスで1杯だけ飲んだ。午後は書評を練る。17時過ぎにアパートを出て、森下を目指す。公演は中止が決まったが、稽古場での作業も続いている。今日は途中までの流れをやってみるつもりだから、よかったら稽古場にきませんかと誘われていた。台詞はまだほとんど発語されていなかったけれど、途中までの動きを見せてもらった。こうして稽古場に足を運んでみると、集団の大変さをひしひしと感じる。ぼくは基本的にひとりで行動しているから、誰かと会話することもないし、気を遣う範囲は限られている。でも、集団だと大変だ。皆も相当神経を使って過ごしているのだと思う。稽古場の片隅にはPCR検査キットがたくさん用意されてある。

 20時に退館し、皆で地下鉄の改札をくぐる。電車を待っているあいだ、「やっぱり橋本さんも、公演が中止になって残念だと思う?」とA.Iさんに尋ねられる。3月にAさんとFさんの対談を収録したときに、去年の初夏に公演が中止になったときの気分を語ってもらっていたのだ。少し考えてから、「5月に観れなかったことはもちろん残念ではあるけれど、それで作品が立ち消えになったわけではないのだし、扱っているテーマがテーマだけにまだ考えるところは山のようにあるだろうし、また別の作品との兼ね合いで続いていくこともあるだろうから、そういう意味では全然残念だとは思ってないです」と率直に答える。そこからあれこれ話したいことはあったのだけれども、森下から小川町まであっという間に着いてしまって、皆と別れて地下鉄を降りる。乗り換えを待っているあいだに、さっきAさんに話したことはFさんにも伝えるべき言葉だなと思い、LINEで送る。こんな日にその言葉を聞けてよかったです、と返信が届く。