水納島再訪

 ひっそりと宣伝を。

 7月7日発売の『群像』から、短期集中連載が始まります。タイトルは迷いに迷いましたが、ふと編集部から「再訪記」という言葉を提案いただき、「再訪」ということはここ7年ぐらい自分の中でテーマになっていることでもあり、タイトルは「水納島再訪」となりました。沖縄県北部、本部半島沖に浮かぶ水納島をめぐるルポルタージュです。2015年の春に、マームとジプシーに同行する形で初めて訪れ、それから年に1度は水納島に足を運んできました。水納島には多い年には年間7万人もの観光客が訪れ、「クロワッサンアイランド」とも呼ばれています。観光客のほとんどが海を目当てに島を訪れるのに、ぼくはたまに足を海につけるくらいで、泳ぐこともないのに、なぜか毎年再訪を重ねてきました。それは別に、いつか取材しようと思っていたわけでもありませんが、今年の4月に島に滞在したとき、ふと耳にした一言をきっかけに、「これは本にしなければ」と思い、そこから図書館でひたすら調べ物をしたり、取り寄せた資料を読んだり、再取材に出かけたりとしていたこともあって、日記は書けなくなりました。4月に滞在していたときから「原稿を載せてもらうとしたらどこがいいだろう?」と考え始めて、最初に浮かんだのが『群像』でした。『群像』とは、同誌がリニューアルされてから何度か原稿依頼をいただいていて、その窓口になってくれていた編集者の方は、僕が構成を担当した、坪内さんの『総理大臣になりたい』の担当編集の方でした。先日、「旅」という小特集が組まれて原稿のやりとりをしたときに、「新しくなった『群像』という場で何か書いていただきたいと思っております」と書き添えてくださっていたことを思い出し、たぶん難しいだろうなと思いつつも相談してみたところ、すぐに引き受けてくださって、原稿を練り始めて、今に至ります。そこで書いていることは、水納島という小さな島の話であり、沖縄の話ではありますが、いろんな場所に通じる話でもあると思っています。